受発注業務の効率化は、企業のコスト削減と生産性向上に直結します。
本記事では、アナログ管理に伴うミスや手間を解消し、業務を大幅に効率化できる最新の受発注システムを徹底解説します。
多種多様なシステムの中から自社に最適なものを選ぶための比較ポイントや、厳選したおすすめシステム14選を具体的な機能や特徴とともにご紹介します。
さらに、導入から運用までを成功させるための実践的なポイントも網羅し、貴社のビジネスを次のステージへ導くヒントをお届けします。
1. 受発注業務の現状課題と効率化の必要性

受発注業務は、企業活動の根幹を支える重要なプロセスです。
しかし、多くの企業では未だにアナログな手法に依存しており、それが様々な課題を引き起こしています。
市場環境の変化や顧客ニーズの多様化が進む現代において、受発注業務の効率化は、単なるコスト削減に留まらず、企業の競争力強化と持続的成長のために不可欠となっています。
アナログな受発注業務が抱える問題点
紙やFAX、電話、メールといったアナログな手段に頼る受発注業務は、一見すると手軽に見えますが、実際には多くの問題点を抱えています。
これらの問題は、企業の生産性を低下させるだけでなく、顧客満足度や利益にも悪影響を及ぼす可能性があります。
具体的にアナログな受発注業務が抱える主な問題点は以下の通りです。
| 問題点 | 具体的な影響 |
| 手作業による非効率性 | 受注データの入力、伝票作成、確認作業などに膨大な時間と手間がかかる。 定型業務に追われ、本来注力すべきコア業務に時間を割けない。繁忙期には残業が増加し、人件費が高騰する。 |
| ヒューマンエラーの発生 | 手入力による誤字脱字、数量の間違いが発生しやすい。確認漏れや伝達ミスが、誤発注・誤納品につながる。 ミスの修正作業に追加のコストと時間がかかり、顧客からのクレームや企業の信頼低下を招く。 |
| 情報共有の遅延と属人化 | 紙ベースの書類や個人のメールに情報が散在し、リアルタイムな情報共有が困難。 担当者しか状況を把握しておらず、業務の属人化が進む。担当者不在時や急な問い合わせ対応時に、業務が滞る。 |
| コストの増大 | 紙代、印刷代、郵送費、FAX通信費などの直接的なコストがかかる。 書類の保管スペース確保や管理にも費用と手間が発生する。非効率な業務プロセスによる人件費の無駄が生じる。 |
| データ活用の困難さ | 紙媒体や個別のデータとして管理されているため、受注履歴や販売実績などのデータを集計・分析しにくい。 過去のデータが経営戦略や販売戦略、在庫最適化に十分に活用されない。 |
| 顧客満足度の低下 | 手作業による処理の遅延が、納期遅れにつながる。 誤発注や誤納品により、顧客からの信頼を失う。進捗状況の問い合わせに時間がかかり、顧客に不便をかける。 |
受発注業務を効率化するメリット
受発注業務の効率化は、上記のようなアナログな課題を解決し、企業に多岐にわたるメリットをもたらします。
システム導入による効率化は、単なる業務改善に留まらず、企業の競争力向上に直結する投資と言えるでしょう。
受発注業務を効率化することで得られる主なメリットは以下の通りです。
| メリット | 具体的な効果 |
| 業務時間の短縮と生産性向上 | 手作業や定型業務を自動化し、受注処理にかかる時間を大幅に削減。 従業員はより付加価値の高いコア業務に集中できるようになり、生産性が向上する。残業時間の削減にもつながり、ワークライフバランスの改善に貢献。 |
| ヒューマンエラーの削減 | システムによる自動入力や入力チェック機能で、誤入力や確認漏れを防止。 誤発注や誤納品が激減し、クレーム対応の負担を軽減。企業の信頼性が向上し、顧客との良好な関係を構築できる。 |
| コスト削減 | 紙、印刷、郵送、FAXといった直接的な費用を削減。業務効率化による人件費の最適化や、残業代の削減。 書類の保管スペースや管理にかかる間接コストも削減できる。 |
| 情報共有の円滑化と属人化解消 | 一元化されたデータベースにより、すべての関係者がリアルタイムで最新情報を共有。 業務の進捗状況が可視化され、特定の担当者に依存しない体制を構築。急な問い合わせにも迅速かつ正確に対応できるようになる。 |
| データ活用による経営戦略強化 | 蓄積された受注データや販売データを容易に集計・分析できる。 需要予測の精度が向上し、在庫の最適化や欠品防止に貢献。精度の高い経営判断や販売戦略の立案が可能になり、売上向上につながる。 |
| 顧客満足度の向上 | 迅速かつ正確な受注処理により、納期遅延や誤発注をなくし、顧客からの信頼を獲得。 リアルタイムな進捗状況を提供することで、顧客の安心感を高める。顧客とのコミュニケーションがスムーズになり、顧客ロイヤルティの向上につながる。 |
| BCP対策と多様な働き方への対応 | データがデジタル化されることで、災害時における紙媒体の消失リスクを低減。 システムを通じてリモートワークやテレワーク環境でも受発注業務を継続できる。事業継続計画(BCP)の強化に貢献し、企業のレジリエンスを高める。 |
2. 受発注システムとは?種類と機能

受発注システムとは、企業間(BtoB)や企業と消費者間(BtoC)で行われる商品の注文受付、発注、進捗管理といった一連の業務プロセスをデジタル化し、効率化するためのツールです。
これまで手作業や電話、FAX、メールなどで行われていた受発注業務をシステム上で一元管理することで、ヒューマンエラーの削減、処理速度の向上、コストの削減を実現し、業務全体の生産性を飛躍的に高めることが可能になります。
特に、取引量の多い企業や多品種の商品を取り扱う企業にとって、受発注システムの導入は事業継続と成長に不可欠な要素となっています。
受発注システムの種類
受発注システムは、その利用対象や導入形態によっていくつかの種類に分類されます。自社のビジネスモデルや運用体制に最適なシステムを選ぶためには、それぞれの特徴を理解することが重要です。
BtoB向け受発注システム
BtoB(Business to Business)向け受発注システムは、企業間の取引に特化したシステムです。主な特徴として、以下のような点が挙げられます。
- 複雑な価格設定に対応:顧客ごとに異なる掛け率、個別契約価格、ボリュームディスカウントなど、多岐にわたる価格設定に柔軟に対応できます。
- 承認フローの管理:発注や受注の際に、複数段階の承認プロセスをシステム上で設定・管理できます。
- 多様な決済方法:掛売り(請求書払い)が主流であり、支払いサイトや与信管理機能が充実しています。
- 大量注文・定期注文への対応:大口の注文や定期的な発注に特化した機能(リピート注文、テンプレート登録など)が備わっています。
- 複数拠点・担当者管理:複数の事業所や担当者からの発注・受注を一元的に管理し、権限設定も可能です。
これらの機能により、サプライヤーとの連携強化、調達業務の効率化、誤発注の防止、安定した供給体制の構築に貢献します。
BtoC向け受発注システム
BtoC(Business to Consumer)向け受発注システムは、企業が一般消費者向けに商品を販売する際に利用されるシステムで、主にECサイトとしての機能が中心となります。
- ユーザーフレンドリーなUI/UX:一般消費者が直感的に操作できるデザインと使いやすさが重視されます。
- 多様な決済手段:クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込、キャリア決済、後払いなど、消費者の利便性を高める多様な決済方法に対応しています。
- 販促機能:クーポン発行、ポイントシステム、キャンペーン管理、レコメンド機能など、販売促進のための機能が充実しています。
- 配送連携:主要な配送業者との連携により、送り状の自動発行や配送状況の追跡が可能です。
- 顧客管理:顧客情報や購入履歴を一元管理し、パーソナライズされたマーケティング施策に活用できます。
これにより、顧客体験の向上、販売機会の拡大、決済処理の自動化、顧客データの分析を通じた販売戦略の最適化が期待できます。
クラウド型とオンプレミス型の違い
受発注システムは、導入形態によっても「クラウド型」と「オンプレミス型」に大別されます。
| 項目 | クラウド型 | オンプレミス型 |
| 導入形態 | インターネット経由でサービスを利用 (SaaS形式が主流) | 自社サーバー内にシステムを構築・運用 |
| 初期費用 | 比較的低い (月額利用料が一般的) | 高額 (サーバー購入、システム開発費用など) |
| 導入期間 | 短期間で利用開始可能 | 長期間(設計、開発、テストなど) |
| 運用・保守 | ベンダーが実施(システム更新、セキュリティ対策など) | 自社で実施(専門知識を持つ人材が必要) |
| カスタマイズ性 | 限定的 (標準機能の範囲内) | 非常に高い (自社の業務に合わせた柔軟な開発が可能) |
| 拡張性 | プラン変更で容易に拡張可能 | サーバー増強やシステム改修が必要 |
| セキュリティ | ベンダーに依存 (ベンダーのセキュリティ対策状況を確認) | 自社で管理・対策 (高度なセキュリティ要件に対応可能) |
| メリット | コスト削減、スピーディーな導入、場所を選ばず利用可能、運用負荷軽減 | 高度なカスタマイズ、既存システムとの連携容易、自社でセキュリティを完全に制御 |
| デメリット | カスタマイズの自由度が低い、インターネット環境が必須、ベンダー依存 | 高額な初期費用と運用コスト、導入・運用に専門知識が必要、導入期間が長い |
クラウド型は初期費用を抑え、迅速に導入したい企業に適しており、オンプレミス型は独自の複雑な業務プロセスがあり、既存システムとの綿密な連携や高度なセキュリティ要件を持つ企業に適しています。
受発注システムの主要機能
受発注システムが備えるべき主要な機能は多岐にわたりますが、ここでは特に業務効率化に直結する核となる機能について解説します。
受注機能と発注機能
受発注システムの根幹をなすのが、顧客からの注文を受け付ける「受注機能」と、仕入れ先へ注文を行う「発注機能」です。
- 受注機能
- オンライン注文受付:顧客がWebサイトや専用ポータルから直接注文を入力・送信できます。
- 注文内容の自動入力・確認:商品情報や顧客情報が自動で入力され、誤入力のリスクを低減します。
- 受注ステータス管理:注文の受付、処理中、出荷済みなど、各注文の進捗状況を一目で確認・管理できます。
- 自動返信メール:注文受付完了や出荷通知など、顧客への連絡を自動化し、顧客満足度を高めます。
- 受注履歴の保存:過去の注文履歴をデータとして蓄積し、分析やリピート注文時に活用できます。
- 発注機能
- 発注書作成・送信:システム上で仕入れ先への発注書を簡単に作成し、メールやEDIなどで自動送信できます。
- 発注状況の追跡:発注した商品の納期や進捗状況をリアルタイムで把握し、サプライヤーとの連携を強化します。
- 自動発注機能:在庫数が一定数を下回った際に、事前に設定した条件に基づき自動で発注を行うことができます。
- サプライヤー情報管理:仕入れ先の連絡先や取引条件などを一元管理し、発注業務をスムーズにします。
見積もり・請求書発行機能
受発注システムには、見積もり作成から請求書発行までの一連の経理関連業務を効率化する機能も含まれます。
- 見積もり機能
- 見積書作成:商品やサービスを選択し、数量や単価を入力するだけで、システムが自動で見積書を作成します。
- 見積もり履歴管理:過去の見積もりを保存し、再利用や顧客との交渉履歴として活用できます。
- 承認フロー:作成された見積もりに対する社内承認プロセスをシステム上で管理できます。
- 見積もりから受注への連携:顧客が承認した見積もりを、ワンクリックで受注データに変換し、その後の業務へスムーズに繋げられます。
- 請求書発行機能
- 請求書の自動作成:受注データに基づいて、納品書や請求書を自動で生成・発行します。
- 多様な請求書形式:インボイス制度対応の請求書や、顧客指定のフォーマットにも柔軟に対応できるシステムもあります。
- 入金状況管理:請求書ごとの入金状況を管理し、未入金に対する催促通知などを自動化できます。
- 会計システム連携:作成された請求データを会計システムに連携することで、経理業務の二重入力の手間を省き、経理業務全体の効率化を図ります。
在庫管理・販売管理システムとの連携
受発注システムを最大限に活用するためには、在庫管理システムや販売管理システムとの連携が不可欠です。
これらのシステムと連携することで、データの分断を防ぎ、業務全体の効率と精度を飛躍的に向上させることができます。
- リアルタイム在庫把握
- 受発注システムで注文が入ると、在庫管理システムに連携され、リアルタイムで在庫数が更新されます。これにより、過剰在庫や欠品を防ぎ、常に正確な在庫情報を把握できます。
- 顧客への納期回答も、正確な在庫情報に基づいて行うことが可能となり、顧客満足度の向上に繋がります。
- 販売機会損失の防止
- 在庫状況と連動して、在庫切れの商品に対する注文受付を停止したり、入荷予定を自動で通知したりすることで、販売機会の損失を最小限に抑えます。
- 自動発注機能と組み合わせることで、在庫補充のタイミングを最適化し、常に適切な在庫レベルを維持できます。
- データの一元化と経営判断の迅速化
- 受発注、在庫、販売の各データが一元的に管理されることで、各部門間での情報共有がスムーズになります。
- 売上実績、在庫推移、顧客データなどを統合的に分析し、需要予測の精度を高めたり、経営戦略の立案に役立てたりすることができます。これにより、迅速かつ的確な経営判断が可能となります。
- 業務効率の向上
- 手動でのデータ入力や確認作業が不要になるため、人的ミスを削減し、業務にかかる時間を大幅に短縮できます。
- 受注から出荷、請求までの一連のプロセスが自動化・連携されることで、業務フロー全体がスムーズになり、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
3. 受発注システムを比較する際のポイント

数ある受発注システムの中から自社に最適なものを選ぶためには、多角的な視点での比較検討が不可欠です。
ここでは、導入を検討する際に特に重視すべきポイントを解説します。
導入形態と費用対効果
受発注システムの導入形態は、大きく分けてクラウド型とオンプレミス型があります。それぞれの特性を理解し、自社の予算や運用体制に合った選択をすることが重要です。
また、単に費用が安いかどうかだけでなく、その投資によって得られる効果を総合的に評価する「費用対効果」の視点を持つことが、受発注業務の効率化とコスト削減を成功させる鍵となります。
システム導入にかかる費用は、初期費用、月額費用(ライセンス料、保守費用)、カスタマイズ費用、そして運用コスト(人件費、教育コストなど)に分けられます。
これらの費用を明確にし、導入によってどれだけの業務時間削減、ヒューマンエラー防止、顧客満足度向上、売上機会損失の低減といった効果が見込めるかを具体的に試算しましょう。
| 検討項目 | クラウド型受発注システム | オンプレミス型受発注システム |
| 初期費用 | 比較的低い傾向にあり、導入のハードルが低い | サーバーやソフトウェアの購入費用が高額になる |
| 月額費用・ランニングコスト | 利用料として月額または年額が発生する | 保守費用やライセンス更新費用が発生するが、月額費用は発生しない場合が多い |
| 導入期間 | 比較的短期間で導入・運用開始が可能 | システムの設計、構築に時間がかかる傾向がある |
| 運用・保守 | ベンダーが実施するため、自社の負担が少ない | 自社で運用・保守を行う必要があり、専門知識が求められる |
| カスタマイズ性 | 提供される機能範囲内での利用が基本だが、API連携などで拡張可能 | 自社の業務フローに合わせて柔軟なカスタマイズが可能 |
| 費用対効果の評価 | 月額費用と業務効率化による人件費削減、ミス削減効果などを比較 | 高額な初期投資に対して、長期的な運用コスト削減と生産性向上効果を評価 |
特に中小企業においては、初期費用を抑えつつスピーディに導入できるクラウド型が、大規模な企業や独自の複雑な業務フローを持つ企業には、カスタマイズ性に優れるオンプレミス型が適している場合があります。
自社の状況を正確に把握し、費用と効果のバランスを慎重に見極めることが大切です。
既存システムとの連携性と拡張性
受発注システムを導入する際、既存の基幹システムとの連携性は非常に重要な比較ポイントです。
販売管理システム、在庫管理システム、会計システム、顧客管理(CRM)システムなど、現在利用しているシステムとスムーズに連携できるかどうかを確認しましょう。
連携が不十分な場合、データの二重入力や手動でのデータ移行が発生し、かえって業務効率が低下する可能性があります。
API連携やCSV連携など、どのような方法でデータ連携が可能か、またその連携の頻度や自動化の度合いを事前に確認することが不可欠です。
データの一元管理は、ヒューマンエラーの削減だけでなく、経営判断の迅速化にも貢献します。
また、将来的な事業規模の拡大や業務内容の変化に対応できる拡張性も重要な要素です。
取引先数の増加、商品アイテム数の増加、新たな販売チャネルの追加、多言語対応など、将来的に必要となるであろう機能がシステムに追加できるか、あるいはカスタマイズが可能かを検討しましょう。
スケーラビリティの高いシステムを選ぶことで、長期的な視点でのDX推進に貢献します。
| 連携・拡張の観点 | 確認すべきポイント |
| 既存システムとの連携対象 | 販売管理システム、在庫管理システム、会計システム、CRMシステムなど、どのシステムと連携できるか。 |
| 連携方法とデータ形式 | API連携、CSV連携、EDI連携など、どのような方法でデータ連携が可能か。データの形式は自社で扱いやすいか。 |
| データ連携の自動化 | 手動でのデータ入力や変換作業が不要になるか。リアルタイムまたは定期的な自動連携が可能か。 |
| 将来的な機能追加・カスタマイズ | 事業拡大や業務変更に伴い、機能追加やカスタマイズが柔軟にできるか。 |
| APIの公開状況 | 外部システムとの連携を自社で開発する際に、APIが公開されているか、そのドキュメントは充実しているか。 |
| 対応できる事業規模 | 現在の取引量だけでなく、将来的な取引量やユーザー数の増加に対応できる処理能力があるか。 |
シームレスなデータ連携は、サプライチェーン全体の効率化と透明性を高め、受発注業務のボトルネックを解消するために不可欠な要素です。
操作性、サポート体制、セキュリティ
受発注システムは日常的に利用するツールであるため、現場の担当者がストレスなく使える操作性は非常に重要です。
また、導入後の運用を安定させるためのサポート体制、そして企業情報や顧客情報を守るためのセキュリティも、システム選定の重要な要素となります。
| 比較ポイント | 具体的な確認事項 |
| 操作性(UI/UX) | 直感的で分かりやすいインターフェースか。 必要な機能へスムーズにアクセスできるか。 デモや無料トライアルで実際の操作感を試せるか。 従業員への教育コストはどの程度かかるか。 PCだけでなく、スマートフォンやタブレットでの操作にも対応しているか。 |
| サポート体制 | 導入前後のコンサルティングや設定支援があるか。 トラブル発生時の問い合わせ窓口(電話、メール、チャット)は充実しているか。 サポートの対応時間、レスポンス速度は適切か。 FAQやオンラインマニュアル、動画チュートリアルなどのセルフヘルプコンテンツは充実しているか。 日本語でのサポートに対応しているか。定期的なバージョンアップや機能改善は行われているか。 |
| セキュリティ | 通信の暗号化(SSL/TLS)はされているか。データのバックアップ体制は整っているか。 アクセス制限機能(IPアドレス制限、ユーザー権限設定など)は充実しているか。 個人情報保護や情報漏洩対策に関する取り組みは適切か。 ISMS認証(ISO 27001)やプライバシーマークなどの第三者認証を取得しているか。 サービス品質保証(SLA)の内容は明確か。災害時やシステム障害発生時の事業継続計画(BCP)が策定されているか。 |
特にセキュリティ対策は、顧客データや取引情報といった機密性の高い情報を扱うため、決して妥協してはならない項目です。
ベンダーがどのようなセキュリティ基準を設けているか、どのような対策を実施しているかを契約前にしっかりと確認しましょう。
導入事例から学ぶ選び方
受発注システムを比較検討する上で、ベンダーが公開している導入事例は非常に参考になります。
自社と類似する業種や企業規模の導入事例を重点的に確認することで、具体的なイメージを掴みやすくなります。
導入事例から学ぶべきポイントは、単に「導入した」という事実だけでなく、その企業がどのような課題を抱えており、システム導入によってどのようにその課題が解決されたのか、具体的な効果がどの程度あったのかという点です。
例えば、「手作業によるミスが〇%削減された」「受発注業務にかかる時間が〇時間短縮された」「在庫回転率が〇%向上した」といった具体的な数値目標の達成状況に注目しましょう。
また、特定の業種に特化したシステムや、その業種での導入実績が豊富なベンダーを選ぶことで、業界特有の商習慣や業務フローに合わせた機能が提供されている可能性が高まります。
これにより、導入後のミスマッチを防ぎ、よりスムーズな運用が期待できます。
| 導入事例から学ぶポイント | 確認すべき具体的な内容 |
| 類似業種・企業規模 | 自社と同じ、または近い業種(製造業、卸売業、小売業など)や企業規模(中小企業、大企業など)の事例があるか。 |
| 導入前の課題 | 導入企業がどのような課題(例:手作業でのミスが多い、在庫管理が煩雑、受発注処理に時間がかかるなど)を抱えていたか。 |
| 導入後の効果 | 課題がどのように解決され、どのような具体的な効果(例:業務時間〇%削減、コスト〇%削減、顧客満足度向上など)が得られたか。 |
| システム選定の理由 | なぜそのシステムを選んだのか、決め手となった機能やサポート体制は何か。 |
| ベンダーの専門性 | 特定の業種や業務に特化したシステムであるか、その分野での導入実績やノウハウが豊富か。 |
| 導入企業のコメント | 実際にシステムを利用している企業の担当者の声や評価はどうか。 |
これらの情報を参考にすることで、自社がシステム導入によってどのようなメリットを享受できるのか、またどのような課題を解決できるのかを具体的にイメージし、最適な受発注システムを見つける手助けとなるでしょう。
4. おすすめ受発注システム14選

受発注業務の効率化を実現するシステムは多岐にわたります。
ここでは、BtoB向けからBtoC向け、販売管理システム連携型まで、特に注目すべきおすすめの受発注システムを14製品厳選してご紹介します。
各システムの特徴や主要機能、費用感を比較検討し、自社の課題解決とビジネス成長に最適なシステムを見つけるための参考にしてください。
CO-NECT(コネクト)

CO-NECTは、BtoBの受発注業務に特化したクラウド型システムです。
FAXや電話、メールでの煩雑なアナログ受発注業務をデジタル化し、効率化を強力に推進します。特に、飲食業や卸売業など、多頻度小口の取引が多く、受発注のミスや手作業による負担が大きい企業に適しています。
CO-NECTの主な特徴と機能
- 発注側も直感的に使えるシンプルなインターフェースで、誤発注のリスクを大幅に軽減し、取引先の利便性も向上させます。
- 受注側は、商品マスタ登録、顧客ごとの価格設定、過去の注文履歴参照、納品書・請求書発行など、BtoB取引に必要な機能を網羅しています。
- 既存の基幹システムや販売管理システムとの連携により、受発注データを自動で取り込み、入力作業の二度手間を解消し、業務全体の効率化を実現します。
- 初期費用や月額費用はプランによって異なり、取引量や利用機能に応じた柔軟な選択が可能です。
楽楽B2B

楽楽B2Bは、企業間取引(BtoB)の受発注業務をデジタル化・自動化するBtoB-EC・Web受発注システムです。
卸売業やメーカー、商社など、企業間取引を行う多くの企業で導入されており、受発注業務の効率化だけでなく、販路拡大や顧客満足度向上にも貢献します。複雑なBtoB取引の商習慣に対応できる点が大きな強みです。
楽楽B2Bの主な特徴と機能
- ECサイトの構築機能やCRM機能が備わっており、新たな販売チャネルの開拓や、取引先ごとの価格・販路・決済方法の柔軟な設定が可能です。
- 15万社以上が導入しており、取引先ごとに価格や表示する商品を分けたり、クローズドサイトやセミクローズドサイトを構築したりといった柔軟な対応ができます。
- 受注データが自動生成されるため、電話やFAXでの注文に付随する手作業を削減できます。AI-OCR機能でFAX注文書を自動取り込むことも可能です。
- 初期費用と月額費用がかかり、サイト規模や機能、サポート内容によって複数のプランが用意されています。
GoQSystem

GoQSystem(ごくーシステム)は、ECサイト運営における受注管理、在庫管理、商品管理などを一元化するクラウド型システムです。
特に、楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなどの複数のECモールや自社サイトで多店舗展開しているEC事業者にとって、受発注業務の効率化と運用コスト削減に大きく貢献します。
GoQSystemの主な特徴と機能
- 複数のECモールや自社サイトからの受注情報を自動で取り込み、一元管理することで、受注処理のミスを削減し、作業時間を大幅に短縮します。
- 在庫情報をリアルタイムで連携し、売り越しや在庫切れのリスクを最小限に抑え、販売機会の損失を防ぎます。
- 送り状発行システムや決済システム、倉庫管理システム(WMS)との連携も可能で、受注から出荷までの業務全体を効率化します。
- 月額費用は、受注件数や連携モール数によって変動する料金体系で、企業の成長に合わせて柔軟に利用できます。
ネクストエンジン

ネクストエンジンは、ECサイト(ネットショップ)の運営を効率化・自動化するための「一元管理システム」です。
楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazonなど、主要なECモールやカートシステムとの連携に強みを持っています。受発注業務だけでなく、商品登録、在庫管理、顧客管理、分析まで幅広くカバーし、EC事業者の業務効率を最大化します。
ネクストエンジンの主な特徴と機能
- 多店舗展開しているEC事業者の受注・在庫管理を効率化し、人的ミスを削減するとともに、リアルタイムな情報共有を可能にします。
- 自動処理機能が充実しており、受注から出荷までのフローを大幅に短縮し、ルーティンワークにかかる時間を削減します。
- カスタマイズ性が高く、自社の運用に合わせた柔軟な設定や、豊富なアプリ連携により機能拡張が可能です。
- 月額費用は、受注件数に応じた従量課金制が基本で、初期費用も発生します。大規模なEC事業者から中小企業まで幅広く利用されています。
TS-BASE 受発注

TS-BASE 受発注は、BtoB取引に特化したクラウド型受発注システムです。
特に、メーカーや卸売業の企業間取引における受発注業務のデジタル化を強力に推進します。
取引先ごとの価格設定や掛売りに対応し、複雑なBtoB取引をスムーズにすることで、業務効率向上とコスト削減に貢献します。
TS-BASE 受発注の主な特徴と機能
- 顧客ごとの専用マイページを提供し、過去の注文履歴や見積もり、請求書などを参照できるため、取引先の利便性が向上します。
- 商品マスタ管理機能が充実しており、多様な商品情報や画像を登録・管理できるほか、カテゴリ分けや検索機能も充実しています。
- 基幹システムや販売管理システムとの連携により、受発注データを自動で取り込み、業務フロー全体を効率化し、手作業によるミスを排除します。
- 初期費用と月額費用がかかり、利用規模や必要な機能に応じた複数のプランが用意されています。
アラジンEC

アラジンECは、企業間取引(BtoB)に特化したWeb受発注システムです。
受発注業務の効率化はもちろん、販路拡大や顧客満足度向上を目指す企業に適しています。特に、アパレルや食品、機械部品など、多岐にわたる業種での導入実績があり、業界特有の商習慣にも柔軟に対応できます。
アラジンECの主な特徴と機能
- 企業間取引特有の複雑な商習慣(掛売り、個別価格設定、ロット単位販売、承認フローなど)に対応しており、既存の業務フローをデジタル化できます。
- 既存の販売管理システムや基幹システムとの連携を前提とした設計で、データ連携がスムーズに行え、システム間の二重入力を排除します。
- 受注管理、商品管理、顧客管理、見積もり機能など、BtoB ECサイト運営に必要な機能を網羅し、一元的な管理を可能にします。
- 導入費用は、構築するサイトの規模やカスタマイズ内容によって大きく変動するため、詳細なヒアリングと見積もりが必要です。
ecbeing BtoB

ecbeing BtoBは、企業間取引(BtoB)に特化したECサイト構築プラットフォームです。
大規模なBtoB ECサイト構築や、複雑な企業間取引の効率化を目指す企業に選ばれています。高い拡張性と安定性が特徴で、長期的な視点でのEC戦略をサポートします。
ecbeing BtoBの主な特徴と機能
- 柔軟なカスタマイズ性により、企業の独自の商習慣や業務フロー、ブランドイメージに合わせた最適なシステム構築が可能です。
- 既存の基幹システムやERP、SFAなどとの連携実績が豊富で、データの一元管理を強力に支援し、全社的な業務効率化に貢献します。
- 複数拠点からの発注や、代理店からの発注、承認フローを伴う発注など、多様な発注形態や複雑な組織構造にも対応できます。
- 導入費用はプロジェクト規模や要件によって大きく異なり、詳細なヒアリングと要件定義に基づいた個別見積もりが必要です。
Bカート

Bカートは、BtoB(企業間取引)の受発注業務をEC化するクラウドサービスです。
専門知識がなくても簡単にBtoB ECサイトを立ち上げられる手軽さが魅力です。
卸売業やメーカー、商社など、幅広い業種で導入されており、受発注業務のデジタル化を支援し、コスト削減と業務効率向上を実現します。
Bカートの主な特徴と機能
- 顧客ごとに異なる価格設定や決済方法、表示商品の出し分けが可能で、取引先ごとのニーズに合わせた柔軟な対応ができます。
- 既存の販売管理システムや会計システム、顧客管理システムとの連携も柔軟に対応しており、データ連携による業務効率化を図れます。
- スマートフォンやタブレットからの利用にも対応しており、取引先はいつでもどこでも発注が可能なため、利便性が向上します。
- 月額費用は、登録商品数や利用機能、取引量によって複数のプランが用意されており、企業の規模に合わせて選択できます。
FutureShop(フューチャーショップ)

FutureShopは、BtoC向けのECサイト構築カートシステムとして高い実績を持つサービスです。
豊富な機能と高いデザイン性を両立しており、特にブランドイメージを重視する企業や、多様な販売戦略を展開したい企業に適しています。受発注業務の効率化だけでなく、顧客体験の向上にも貢献します。
FutureShopの主な特徴と機能
- 高度なデザインカスタマイズ機能により、ブランドの世界観を表現したECサイトを構築でき、競合との差別化を図れます。
- 受注管理、商品管理、顧客管理、決済機能、配送連携など、BtoC ECサイト運営に必要な機能を網羅し、一元的な管理を可能にします。
- 販売促進機能(クーポン、ポイント、レビュー、メールマガジンなど)が充実しており、顧客エンゲージメントを高め、売上向上を支援します。
- 月額費用と初期費用がかかり、機能の追加やサポート内容によって料金が異なります。安定した運用と成長をサポートする体制が整っています。
MakeShop(メイクショップ)

MakeShopは、国内最大級のECサイト構築サービスです。
豊富な機能と充実したサポート体制が特徴で、初心者から大規模事業者まで幅広いニーズに対応しています。
BtoC ECサイトの受発注業務効率化に貢献し、売上を最大化するための多様なツールを提供しています。
MakeShopの主な特徴と機能
- 約650種類以上の豊富な機能を標準搭載しており、多様な販売戦略やマーケティング施策に柔軟に対応できます。
- デザインテンプレートも豊富で、専門知識がなくてもプロフェッショナルなECサイトを構築可能です。カスタマイズの自由度も高いです。
- 受注管理、在庫管理、顧客管理、販促機能などが一元化されており、EC運営における業務効率を大幅に向上させます。
- 初期費用と月額費用がかかり、利用プランによって提供される機能やサポートが異なります。手厚いサポート体制も魅力の一つです。
Shopify(ショッピファイ)

Shopifyは、専門知識がなくてもオンラインストアを簡単に開設・運営できるEC(電子商取引)プラットフォームです。
シンプルで使いやすいインターフェースと、豊富なアプリによる拡張性が魅力です。
BtoCだけでなく、Shopify PlusやB2B on Shopifyなどの機能によりBtoB向けの機能も強化されており、多様なビジネスモデルに対応します。
Shopifyの主な特徴と機能
- 直感的な操作でECサイトを構築・運営でき、多言語・多通貨にも対応しているため、グローバル展開を視野に入れたビジネスに適しています。
- アプリストアから必要な機能を追加することで、自社のビジネスに合わせた柔軟なカスタマイズが可能で、機能拡張性に優れています。
- 受注管理、在庫管理、顧客管理、決済機能などが一元化されており、効率的な運用を実現します。また、強力なセキュリティ対策も特徴です。
- 月額費用はプランによって異なり、取引手数料も発生する場合があります。小規模から大規模まで、幅広い事業者が利用しています。
BASE(ベイス)

BASEは、初期費用・月額費用無料で手軽にECサイトを開設できるサービスです。
個人事業主や小規模事業者、副業でECを始めたい方などに特に人気があります。専門知識がなくても簡単に受発注業務をデジタル化し、オンライン販売を始めたい場合に最適な選択肢です。
BASEの主な特徴と機能
- 専門知識不要で、誰でも簡単にECサイトを構築・運営できます。デザインテンプレートも豊富で、ショップの雰囲気に合わせてカスタマイズ可能です。
- 受注管理、商品管理、顧客管理など、EC運営の基本的な機能が揃っており、手軽にオンラインでの受発注業務を開始できます。
- 「BASE Apps」という拡張機能により、SNS連携や販促機能、決済方法の追加など、必要な機能を後から追加することができます。
- 初期費用・月額費用は無料ですが、商品が売れた際に決済手数料やサービス利用料が発生します。気軽に始められる点が最大の魅力です。
アラジンオフィス

アラジンオフィスは、販売・在庫・生産管理システムです。
受発注業務だけでなく、見積もり、売上、仕入れ、在庫、顧客情報など、企業の販売活動全体を統合的に管理します。
特に、卸売業や製造業など、複雑な在庫管理や多品種少量生産を必要とする企業に適しています。
アラジンオフィスの主な特徴と機能
- 受発注から売上・仕入れ、在庫管理までを一元化し、業務の効率化と正確性向上を実現します。データ連携により、入力ミスや二重入力を防ぎます。
- 多種多様な業種・業態に合わせたカスタマイズが可能で、独自の商習慣や複雑な業務フローにも柔軟に対応します。
- リアルタイムでの在庫状況把握や、ロット管理、賞味期限管理、複数倉庫管理など、高度な在庫管理機能を提供し、欠品や過剰在庫のリスクを低減します。
- 導入費用は、システムの規模やカスタマイズ内容によって異なり、詳細なヒアリングと要件定義に基づいた個別見積もりが必要です。
弥生販売25

弥生販売25は、納品書や請求書などの帳票作成から、売上・仕入・在庫管理までを一元管理できる販売管理ソフトです。
受発注、売上、仕入れ、在庫管理といった販売管理業務を効率化し、会計ソフトとの連携により、経理業務の負担も軽減します。中小企業や個人事業主を中心に、多くの企業で利用されています。
弥生販売クラウドの主な特徴と機能
- 見積書・納品書・請求書などの帳票作成が簡単に行え、受発注業務をスムーズにします。テンプレートも豊富で、見栄えの良い帳票を素早く作成できます。
- リアルタイムでの売上状況や在庫状況を把握でき、経営判断に役立てられるほか、多様な集計・分析機能も備えています。
- 弥生会計などの会計ソフトとの連携により、販売管理で入力したデータを自動で会計仕訳に反映させ、入力の手間を省き、経理業務を大幅に効率化します。
- 月額費用がかかり、機能やサポート内容によって複数のプランが用意されています。導入後のサポート体制も充実しており、安心して利用できます。
5. 受発注システム導入の流れと成功の秘訣

受発注システムを導入することは、単にツールを導入するだけでなく、業務プロセスそのものを変革する重要なプロジェクトです。
この章では、システム導入を成功に導くための具体的な流れと、押さえておくべき秘訣を解説します。
導入前の準備と要件定義
受発注システムの導入を検討する際、最も重要なのが事前の準備と、自社に必要な機能を明確にする要件定義です。
ここを怠ると、導入後に「思っていたのと違った」「費用対効果が見合わない」といった問題に直面する可能性があります。
現状課題の洗い出しと目的設定
まず、現在の受発注業務における課題を具体的に洗い出します。例えば、以下のような課題が挙げられるでしょう。
- 手作業による入力ミスや確認作業の多さ
- 電話やFAX、メールでのやり取りによるコミュニケーションコストの増大
- 受注・発注状況のリアルタイムな把握が困難
- 在庫情報との連携不足による欠品や過剰在庫
- 請求書発行や入金確認に時間がかかる
- 担当者ごとの業務属人化
これらの課題を解決するために、システム導入によって何を達成したいのか、具体的な目的と目標を設定します。
例えば、「受発注業務の処理時間を20%削減する」「ヒューマンエラーを半減させる」「顧客からの問い合わせ対応時間を短縮する」といった定量的な目標を立てることで、導入後の効果測定もしやすくなります。
必要な機能と連携システムの要件定義
次に、設定した目的を達成するために、どのような機能が必要かを具体的に定義します。
受発注システムには多種多様な機能があるため、自社にとって本当に必要な機能を見極めることが重要です。
- 受注・発注機能: Webからの受注、EDI連携、発注書自動作成、承認フローなど
- 見積もり・請求機能: 見積もり作成、請求書発行、入金消込など
- 在庫管理連携: 在庫状況のリアルタイム連携、自動発注トリガーなど
- 顧客管理連携: 顧客情報の一元管理、過去の取引履歴参照など
- 販売管理・会計システム連携: 売上データ連携、仕訳データの自動作成など
- 分析・レポート機能: 受注傾向分析、売上予測、KPI管理など
また、現在利用している基幹システムや会計システム、ECサイトなどとの連携要件も明確にしておく必要があります。
API連携が可能か、CSVでのデータ連携で十分かなど、連携方法やデータ項目についても具体的に洗い出しましょう。
これにより、導入後の二重入力の手間を省き、データの一貫性を保つことができます。
導入予算とスケジュール、体制の確立
導入にかかる予算とスケジュールも重要な要件です。システム本体の費用だけでなく、初期設定費用、カスタマイズ費用、月額利用料、運用保守費用、従業員へのトレーニング費用なども考慮し、トータルコストを把握しましょう。
また、いつまでに導入を完了させ、いつから運用を開始したいのか、具体的なスケジュールを立てます。
さらに、プロジェクトを推進するための体制を確立することも不可欠です。システム導入の責任者、各部門からの担当者、IT部門の協力者など、関係者を巻き込み、明確な役割分担を行うことで、スムーズな進行を促します。
ベンダー選定から運用開始まで
要件定義が完了したら、次に自社のニーズに合った受発注システムとベンダーを選定し、導入を進めていきます。このフェーズでは、慎重な比較検討と計画的な実行が求められます。
情報収集とベンダーへの問い合わせ
要件定義で洗い出した内容をもとに、市場に存在する受発注システムに関する情報収集を行います。
比較サイト、業界の展示会、セミナー、既存の取引先からの紹介などを活用し、複数の候補システムとベンダーをリストアップします。
興味を持ったベンダーには、具体的な機能や料金プラン、導入実績、サポート体制などについて問い合わせを行います。
可能であれば、デモンストレーションを依頼し、実際の操作感や機能が自社の業務に合致するかを確認しましょう。
提案依頼書(RFP)の作成と評価
複数のベンダーから具体的な提案を受けるために、提案依頼書(RFP: Request For Proposal)を作成することをおすすめします。
RFPには、自社の現状課題、システム導入の目的、必要な機能要件、非機能要件(セキュリティ、パフォーマンスなど)、予算、スケジュール、評価基準などを詳細に記載します。
RFPを提示することで、ベンダーは自社のニーズに沿った具体的な提案を作成でき、比較検討が容易になります。提案内容を評価する際は、以下のポイントを総合的に判断しましょう。
| 評価項目 | 着目点 |
| 機能適合性 | 自社の要件をどれだけ満たしているか、カスタマイズの自由度はどうか |
| 費用対効果 | 初期費用、月額費用、運用コストを含めた総費用と期待される効果のバランス |
| 導入実績 | 同業他社や同規模の企業への導入実績があるか、成功事例はどうか |
| サポート体制 | 導入時だけでなく、運用後のサポート体制(問い合わせ窓口、対応時間、内容)は充実しているか |
| セキュリティ | データの保護体制、アクセス制限、BCP(事業継続計画)対策は十分か |
| 将来性・拡張性 | 今後の事業拡大や機能追加に対応できるか、ロードマップは明確か |
システム構築・設定とテスト運用
ベンダー選定が完了し契約を締結したら、いよいよシステムの構築・設定フェーズに入ります。
クラウド型システムの場合は、アカウント設定や初期データ登録が中心となりますが、オンプレミス型や大規模なカスタマイズが必要な場合は、システム開発に時間を要します。
- 初期設定: 企業情報、ユーザーアカウント、権限設定、マスタデータ(商品、顧客、取引先など)の登録
- 既存システム連携: 会計システムや在庫管理システムなどとのAPI連携、CSV連携の設定
- 業務フローへの落とし込み: 新しいシステムを使った業務フローを具体的に設計し、必要に応じてマニュアルを作成
設定が完了したら、必ずテスト運用を実施します。
実際の業務を想定したデータで、受注から発注、請求、在庫連携までの一連の流れをシミュレーションし、問題なく動作するか、要件通りに機能するかを徹底的に検証します。
この段階で発見された課題は、運用開始前にベンダーと協力して解決しておきましょう。
従業員への教育と本格運用開始
テスト運用を経て問題がなければ、いよいよ本格運用を開始します。しかし、システムが導入されただけでは効率化は実現しません。
実際にシステムを利用する従業員への十分な教育が不可欠です。
操作トレーニングを実施し、新しい業務フローやシステムのメリットを理解してもらうことで、現場でのスムーズな移行を促します。疑問点や不明点を解消できるサポート体制も整えておきましょう。
運用開始後も、定期的に利用状況をモニタリングし、必要に応じて改善策を講じることが重要です。
導入を成功させるための注意点
受発注システムの導入は、多くの企業にとって大きな投資であり、業務プロセスに大きな影響を与えます。成功させるためには、いくつかの重要な注意点を意識する必要があります。
経営層のコミットメントと全社的な協力体制
システム導入は、一部門だけの問題ではなく、全社的なプロジェクトとして捉えるべきです。経営層が導入の意義を理解し、強力に推進するコミットメントが不可欠です。
また、各部門が協力し、情報共有を密に行うことで、部門間の連携不足による問題を回避できます。
特に、新しいシステムへの移行には、現場からの抵抗が生じることも少なくありません。経営層が明確なビジョンを示し、導入のメリットを繰り返し伝えることで、従業員の理解と協力を得やすくなります。
段階的な導入とスモールスタートの検討
一度にすべての業務を新しいシステムに移行しようとすると、混乱が生じやすく、リスクも高まります。
特に大規模な企業や複雑な業務プロセスを持つ場合は、段階的な導入やスモールスタートを検討することをおすすめします。
例えば、まずは特定の部門や特定の商品の受発注業務からシステムを導入し、そこで得られた知見や課題を次のフェーズに活かす方法です。これにより、リスクを最小限に抑えながら、着実に導入を進めることができます。
業務フローの見直しと標準化
システム導入は、既存の業務フローを見直す絶好の機会です。
「システムに合わせて業務を変える」という視点も持ち、非効率なプロセスや属人化していた業務を標準化することで、システムの効果を最大限に引き出すことができます。
ただし、システム導入ありきで無理な業務変更を行うと、現場の混乱を招く可能性があります。ベンダーと協力しながら、現実的かつ最適な業務フローを設計することが重要です。
導入後の効果測定と継続的な改善
システムを導入して終わりではありません。
導入前に設定した目的や目標(KPI)に基づき、定期的に効果測定を行い、システムの運用状況を評価することが重要です。
- 受発注処理時間の変化
- 入力ミスの発生率
- 在庫適正化の度合い
- 顧客満足度の変化
- 人件費や運用コストの削減効果
これらのデータをもとに、システムの改善点や新たなニーズを洗い出し、継続的にシステムや業務フローを改善していくPDCAサイクルを回すことで、長期的な視点での効率化と競争力強化に繋がります。
6. まとめ
受発注業務の効率化は、アナログ管理に伴う時間的・人的コストの増大やヒューマンエラーを防ぎ、企業の生産性向上に欠かせません。
本記事では、受発注システムの種類や主要機能、比較ポイント、おすすめの14選、さらに導入を成功させるための秘訣を詳しく解説しました。
自社の規模や業種、既存システムとの連携性を踏まえて最適なシステムを選ぶことが重要です。
適切なシステム導入は、業務の自動化、コスト削減、顧客満足度向上を実現し、持続的なビジネス成長を加速させる戦略的投資となるでしょう。
