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【2025年版】クラウド型販売管理システムおすすめ15選|中小企業・小規模事業者向け選び方と導入メリット

販売管理業務の属人化や非効率さに課題を感じていませんか?

中小企業や小規模事業者にとって、限られた人員で正確かつ効率的に販売管理を行うことは大きな課題です。

特に、Excelやスプレッドシートを使った手作業管理には限界があり、請求ミスや入力漏れなどのリスクが高まります。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが「クラウド型販売管理システム」です。

本記事では、2025年最新版のクラウド型販売管理システムおすすめ15選を料金・機能の両面から徹底比較。


さらに、自社に合ったシステムの選び方、導入によるコスト削減や法改正対応といったメリット、失敗しないための注意点まで詳しく解説します。

この記事を読めば、自社の課題解決につながる最適なクラウド型販売管理システムがきっと見つかるはずです。

目次

中小企業・小規模事業者が直面する販売管理の「壁」

限られたリソースの中で事業を運営する中小企業・小規模事業者にとって、販売管理業務の非効率性は経営の足かせとなりかねません。

多くの企業が、以下のような共通の課題に直面しています。

Excel・スプレッドシート管理の限界

手軽に始められるExcelやスプレッドシートでの管理は、事業の初期段階では有効です。しかし、取引量や扱うデータが増えるにつれて、様々な問題が顕在化します。

課題の種類具体的な問題点
属人化特定の担当者しか操作できない複雑な関数やマクロが組まれ、その担当者が不在だと業務が停滞する。
ファイルが個人のPCに保存され、情報共有ができない。
リアルタイム性の欠如各担当者が個別にファイルを更新するため、最新の在庫状況や売上情報がリアルタイムに把握できず、経営判断の遅れや販売機会の損失につながる。
データの一貫性・整合性の問題複数部署で同じようなファイルが乱立し、どれが最新・正本か分からなくなる。
転記ミスや入力漏れにより、データの不整合が発生しやすい。
セキュリティリスクファイルのコピーや持ち出しが容易で、情報漏洩のリスクが高い。
アクセス権限の設定が難しく、内部統制の観点からも脆弱。

手作業による非効率とヒューマンエラー

システム化されていない業務フローは、多くの手作業を発生させます。

見積書から請求書へのデータ転記、売上データの集計、入金確認の消込作業など、繰り返し行われる単純作業に多くの時間が奪われ、本来注力すべきコア業務を圧迫します。

また、手作業に依存する限り、入力ミスや計算間違いといったヒューマンエラーを完全になくすことは困難であり、請求漏れや二重請求などの重大なトラブルに発展するリスクも常に抱えています。

変化するビジネス環境とシステム導入の必要性

近年、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、従来の業務プロセスを見直す必要性が高まっています。特に、法改正への対応とDXの推進は、すべての事業者にとって喫緊の課題です。

インボイス制度・電子帳簿保存法への対応

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)や、改正が重ねられる電子帳簿保存法への対応は、もはや避けては通れません。

これらの法改正は、請求書の発行・受領・保存に関するルールを大きく変えるものであり、手作業での対応は非常に煩雑でミスも起こりやすくなります。

最新の法制度に対応した販売管理システムを導入することは、法令遵守と業務効率化を両立させるための最適な選択肢と言えるでしょう。

DX推進による競争力強化

少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、企業の持続的な成長にはデジタルの力を活用した生産性向上が不可欠です。

販売管理業務をシステム化・自動化することは、単なる効率化にとどまりません。

蓄積された販売データを分析して顧客ニーズを把握したり、営業戦略の立案に活用したりと、データを活用した戦略的な経営(データドリブン経営)への第一歩となり、企業の競争力を大きく向上させる可能性を秘めています。

2. クラウド型販売管理システムとは?基本機能とオンプレミス型との違い

販売管理システムとは、見積もり、受注、売上、請求、入金、在庫管理といった、企業の販売活動に関わる一連の業務プロセスを一元的に管理し、効率化するための仕組みです。

これまで手作業やExcelで行っていた煩雑な業務を自動化し、情報のリアルタイム共有を可能にすることで、業務の属人化を防ぎ、経営判断の迅速化・高度化を支援します。

この販売管理システムには、大きく分けて「クラウド型」と「オンプレミス型」の2つの提供形態が存在します。

本章では、まず販売管理システムの基本的な機能と役割を解説し、その後、両者の決定的な違いについて詳しく見ていきましょう。

販売管理システムの主な機能と役割

販売管理システムが担う中核的な機能は、販売業務の各プロセスを連携させ、お金とモノの流れを正確に把握することです。これにより、業務の効率化だけでなく、経営状況の可視化という重要な役割を果たします。以下に、主な機能をご紹介します。

見積管理機能

見積書の作成、申請・承認ワークフロー、発行、履歴管理などを行います。

過去の見積もりデータを活用してスピーディーな書類作成が可能になるほか、承認プロセスを電子化することで、商談の停滞を防ぎます

受注管理機能

顧客からの注文情報を正確に登録し、受注残や納期を管理します。

受注データを起点として、売上計上や在庫引き当て、出荷指示へとスムーズに情報を連携させることが可能です。

売上管理機能

受注データをもとに売上を計上し、売掛金の管理を行います。

日別・月別・担当者別・商品別など、様々な角度から売上実績をリアルタイムで集計・分析できるため、経営状況の正確な把握に繋がります

請求・入金管理機能

売上データと連携して請求書を自動で作成・発行します。

2023年10月から開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応した請求書の発行も可能です。また、入金情報を登録し、売掛金の消込作業を効率化することで、請求漏れや回収漏れのリスクを大幅に低減します。

在庫管理機能

商品の入出庫を記録し、現在の在庫数をリアルタイムで管理します。

欠品による販売機会の損失や、過剰在庫によるキャッシュフローの悪化を防ぎ、適正在庫を維持するための重要な機能です。複数の倉庫や拠点を持つ場合でも、在庫状況を一元的に把握できます。

発注・仕入管理機能

在庫状況や受注情報に応じて、仕入先への発注データを作成し、仕入計上や買掛金の管理を行います。

発注業務を効率化し、支払い漏れなどを防ぎます

分析・レポート機能

システムに蓄積された販売データを多角的に分析し、グラフや表形式でレポートを出力します。

売れ筋商品や優良顧客の分析、売上予測などに活用でき、データに基づいた客観的な経営戦略の立案を強力にサポートします。

クラウド型とオンプレミス型の決定的な違い

販売管理システムを導入する際、最も重要な選択となるのが「クラウド型」と「オンプレミス型」のどちらを選ぶかです。

両者はシステムの利用形態やコスト構造が根本的に異なり、それぞれにメリット・デメリットが存在します。

中小企業・小規模事業者にとっては、この違いを理解することが最適なシステム選びの第一歩となります。

クラウド型は、インターネット経由でベンダーが提供するシステムを利用する形態で、いわばシステムを「レンタル」するイメージです。

一方、オンプレミス型は、自社内にサーバーを設置し、ソフトウェアをインストールしてシステムを構築・運用する形態で、システムを「所有」するイメージに近いと言えるでしょう。

両者の違いを以下の表にまとめました。

比較項目クラウド型オンプレミス型
導入形態インターネット経由でサービスを利用自社内にサーバーを設置し、システムを構築
初期費用低い(または無料)高い(サーバー購入費、ライセンス費など)
ランニングコスト月額・年額の利用料が発生サーバー維持費、保守・メンテナンス費用など
導入期間短い(数日~数週間)長い(数ヶ月~)
カスタマイズ性制限あり(提供範囲内での設定変更が主)高い(自社の業務に合わせて自由に開発可能)
メンテナンス・運用ベンダー側で実施(保守不要)自社で実施(専門知識を持つ人材が必要)
セキュリティ専門家による高度なセキュリティ対策自社のセキュリティポリシーや体制に依存
アクセス場所インターネット環境があればどこでも可能原則として社内ネットワークからのみ
法改正対応ベンダーが自動でアップデート自社で対応(追加開発や改修が必要な場合も)

近年、テレワークの普及やIT人材不足を背景に、初期投資を抑え、運用管理の手間がかからないクラウド型が主流となりつつあります。

特に、専任のIT担当者を置くことが難しい中小企業・小規模事業者にとっては、専門知識がなくても導入・運用できるクラウド型のメリットは非常に大きいと言えるでしょう。

3. 中小企業・小規模事業者がクラウド型販売管理システムを導入するメリット

販売管理業務における多くの課題は、クラウド型の販売管理システムを導入することで解決に導けます。

従来のオンプレミス型(自社サーバー設置型)と比較して、特にリソースが限られる中小企業や小規模事業者にとって、クラウド型は計り知れないメリットをもたらします。

ここでは、導入によって得られる具体的な6つのメリットを詳しく解説します。

初期費用と運用コストの削減

クラウド型販売管理システム導入の最大のメリットは、コストを大幅に抑制できる点です。

従来のオンプレミス型では、高価なサーバー機器の購入やソフトウェアライセンスの買い取り、システムを構築するための人件費など、多額の初期投資が必要でした。

しかし、クラウド型は自社でサーバーを持つ必要がなく、月額または年額の利用料(サブスクリプション)を支払うだけで利用を開始できます

これにより、初期費用を数分の一、場合によってはゼロに抑えることが可能です。

さらに、サーバーの維持管理にかかる電気代や設置スペース、専門知識を持つIT担当者の人件費といった継続的なランニングコストも不要になります。

事業を始めたばかりのスタートアップや、IT投資に大きな予算を割けない中小企業にとって、これは非常に大きな魅力です。

比較項目オンプレミス型クラウド型
初期費用高額(サーバー購入費、ライセンス費など)低額または無料
月額/年額費用なし(買い切りが多い)発生(サブスクリプション)
サーバー維持費発生(電気代、設置場所代など)不要(利用料に含まれる)
保守・管理コスト発生(専任担当者の人件費、メンテナンス費)不要(利用料に含まれる)
アップデート費用別途発生する場合が多い不要(利用料に含まれる)

導入から運用までの手軽さ

クラウド型システムは、導入の手軽さも大きな特長です。

オンプレミス型の場合、サーバーの選定・調達から始まり、ネットワーク設定、システムインストール、各種設定といった複雑なプロセスを経るため、導入までに数ヶ月を要することも珍しくありません。

一方、クラウド型は、サービス提供事業者が用意した環境を利用するため、Webサイトから申し込み、アカウントを発行すれば最短即日で利用を開始できます。

専門的なIT知識がなくても直感的に設定できるサービスが多く、IT担当者がいない企業でもスムーズに導入を進めることが可能です。

システムの維持・管理もベンダーに任せられるため、企業は本来のコア業務に集中できます。

場所を選ばない柔軟な業務環境

インターネット環境さえあれば、いつでもどこでもシステムにアクセスできるのがクラウド型の強みです。

オフィス内はもちろん、自宅でのテレワーク、出張先や移動中の電車内からでも、PCやスマートフォン、タブレットを使ってリアルタイムに販売データを確認・入力できます。

例えば、営業担当者が外出先でスマートフォンから見積書を作成・送信したり、在庫状況をリアルタイムで確認したりすることが可能です。

これにより、業務のスピードが格段に向上し、多様な働き方への対応やBCP(事業継続計画)対策としても非常に有効です。

部署間での情報共有もスムーズになり、全社的な業務効率化に繋がります。

強固なセキュリティとデータ保護

「クラウドはセキュリティが不安」というイメージは過去のものです。

現在では、多くのクラウドサービス提供事業者が、自社で構築するよりもはるかに高度なセキュリティ対策を講じています

専門のエンジニアが24時間365日体制でサーバーを監視し、不正アクセスやサイバー攻撃からシステムを保護しています。

また、通信の暗号化、IPアドレス制限、二段階認証といった機能も標準で備わっていることが多く、情報漏洩のリスクを最小限に抑えます。

さらに、データは堅牢なデータセンターで自動的にバックアップされるため、地震や火災といった災害時や、自社PCの故障時でもデータ消失のリスクが極めて低い点も安心材料です。

セキュリティ対策に多額のコストや人材を割くことが難しい中小企業にとって、これは大きなメリットと言えるでしょう。

最新機能への自動アップデートと拡張性

ビジネス環境や顧客のニーズは常に変化しており、販売管理システムもそれに対応していく必要があります。

オンプレミス型の場合、新しい機能を追加したり、システムをバージョンアップしたりする際には、多額の追加費用と専門的な作業が必要になることがほとんどです。

その点、クラウド型システムはベンダー側で定期的に機能改善や新機能の追加が行われ、自動的にシステムがアップデートされます。

ユーザーは追加費用なしで、常に最新かつ最適な状態でシステムを利用し続けることができます。

また、事業の成長に合わせて利用ユーザー数を増やしたり、必要な機能を追加したりといった拡張も簡単に行えます。

スモールスタートで導入し、事業規模の拡大に合わせて柔軟にシステムをスケールアップさせることが可能です。

法改正にスムーズに対応できる

近年、インボイス制度(適格請求書等保存方式)や改正電子帳簿保存法など、企業の経理・販売業務に直結する法改正が相次いでいます。

これらの法改正に自社で対応するには、内容を正確に理解し、システムを改修する必要があり、大きな負担となります。

クラウド型の販売管理システムであれば、こうした法改正にもベンダーが責任を持って迅速に対応し、システムをアップデートしてくれます

ユーザーは特別な作業をすることなく、法改正の内容を意識せずとも、法令に準拠した帳票の作成やデータ保存が可能になります。

法対応の遅れや漏れといったコンプライアンスリスクを回避し、バックオフィス業務の負担を大幅に軽減できる点は、中小企業にとって非常に心強いメリットです。

4. 失敗しないクラウド型販売管理システムの選び方【中小企業・小規模事業者向け】

数多くのクラウド型販売管理システムの中から、自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。多機能なシステムを導入したものの、使いこなせずに無駄なコストを払い続けるといった失敗は避けたいところです。

ここでは、特に中小企業や小規模事業者の皆様がシステム選びで失敗しないための5つの重要な選定ポイントを、具体的な確認事項とともに詳しく解説します。

自社の業務フローへの適合性

販売管理システム選びで最も重要なのが、自社の現在の、そして将来の業務フローにシステムが合致しているかという点です。

どんなに高機能なシステムでも、業務の流れに合わなければ、かえって非効率になったり、現場の混乱を招いたりする原因となります。

まずは、見積書作成から受注、売上計上、請求書発行、入金管理、そして在庫管理に至るまで、一連の販売管理業務をすべて洗い出しましょう。その上で、以下の点を確認してください。

  • 業務プロセスの再現性:現在の業務プロセスを、システム上で無理なく再現できるか。特殊な処理や例外的な対応が必要な場合、標準機能でカバーできるか、あるいはカスタマイズで対応可能かを確認します。
  • 業界・業種特有の商習慣への対応:例えば、建設業における出来高請求、アパレル業界での色・サイズごとの在庫管理(SKU管理)、食品業界の賞味期限管理など、自社の業界特有の商習慣に対応しているかは重要なチェックポイントです。
  • カスタマイズの柔軟性:企業の成長や業務内容の変化に合わせて、入力項目の追加や帳票フォーマットの変更、承認フローの設定などが柔軟に行えるかを確認しましょう。
  • 無料トライアルやデモの活用:多くのクラウドサービスでは、無料トライアル期間や個別デモが用意されています。実際にシステムを操作し、自社の業務データを一部入力してみることで、操作感や適合性を具体的に確認することが失敗を避けるための鍵となります。

費用対効果と料金プランの確認

クラウド型販売管理システムは、初期費用を抑えられる点が魅力ですが、長期的な視点での費用対効果(ROI)を見極めることが不可欠です。

料金プランはサービスごとに多様なため、表面的な価格だけでなく、その内訳をしっかりと比較検討する必要があります。

料金プランを確認する際は、以下の比較表を参考に、自社の利用規模や将来の拡張計画に合ったプランを選びましょう。

項目確認すべき内容
初期費用導入時にかかる設定費用やコンサルティング費用。
無料のサービスも多いですが、手厚いサポートを希望する場合は有料になることがあります。
月額(年額)料金システムの基本利用料。
ユーザー数、データ容量、利用機能などによって変動します。
「ユーザー数課金」なのか「機能ごとの課金」なのか、課金体系を正確に把握しましょう。
オプション費用基本プランには含まれない追加機能や、API連携、サポートプランのアップグレードなどにかかる費用。
必要な機能がオプション扱いになっていないか確認が必要です。
最低契約期間と解約条件多くのサービスで最低利用期間が設定されています。
期間内の解約に違約金が発生しないか、事前に確認しておきましょう。

単に安いという理由だけで選ぶのではなく、システムの導入によって「どれだけ業務が効率化されるか」「人件費やミスによる損失をどれだけ削減できるか」といった導入効果を予測し、投資額に見合うリターンが得られるかを総合的に判断することが重要です。

必要な機能の網羅性と将来の拡張性

販売管理システムは、一度導入すると長く利用する基幹システムです。

そのため、現在の業務に必要な機能が揃っていることはもちろん、将来の事業拡大にも対応できる拡張性を備えているかを見極める必要があります。

基本機能のチェック

まずは、販売管理のコアとなる以下の機能が、自社の要件を満たしているかを確認します。

  • 見積管理:見積書の作成、承認フロー、履歴管理
  • 受注管理:受注情報の登録、注文請書の作成
  • 売上管理:売上計上、納品書の発行
  • 請求・入金管理:請求書の発行(都度・合算)、入金消込
  • 在庫管理:在庫数の把握、入出庫管理、棚卸機能

これらの基本機能に加え、分析レポート機能や案件管理(SFA/CRM)機能などが搭載されていると、より多角的な経営判断に役立ちます。

外部システムとの連携(API連携)

業務効率を飛躍的に向上させるためには、他のシステムとの連携が欠かせません。

特に会計ソフトとの連携は、経理業務の手間を大幅に削減するため、必須の確認項目と言えるでしょう。

  • 会計ソフト:freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計など
  • ECサイト・モール:Shopify、BASE、楽天市場、Amazonなど
  • CRM/SFA(顧客管理/営業支援):Salesforce、kintoneなど
  • POSレジシステム:スマレジ、Airレジなど

現在利用しているシステム、あるいは将来的に導入を検討しているシステムとスムーズに連携できるか、API連携の可否や連携方法を事前に確認しておきましょう。

操作性とサポート体制の充実度

高機能なシステムも、現場の従業員が使いこなせなければ意味がありません。

また、導入時や運用中に問題が発生した際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかも、システムを安定して活用していく上で非常に重要です。

直感的で分かりやすい操作性

システムの選定時には、必ずデモ画面を操作したり、無料トライアルを利用したりして、ITに不慣れな人でも直感的に使えるユーザーインターフェース(UI)になっているかを確認してください。

毎日使うものだからこそ、画面の見やすさ、入力のしやすさ、メニュー構成の分かりやすさといった「使い勝手」は、業務効率に直結します。

手厚いサポート体制

導入後の「困った」に迅速に対応してくれるサポート体制は、安心してシステムを使い続けるための生命線です。

特に専門の情報システム部門がない中小企業にとっては、サポートの質がシステムの定着を左右します。

サポート項目確認すべき内容
導入サポート初期設定やデータ移行などを支援してくれるか。
専任の担当者がつくか。訪問サポートの有無。
サポートチャネル電話、メール、チャットなど、問い合わせ方法の選択肢。緊急時にすぐ連絡が取れる電話サポートの有無は重要です。
サポート対応時間平日の日中のみか、土日祝日や夜間も対応しているか。
自社の営業時間と合っているかを確認します。
サポートの料金基本料金に含まれているか、別途有料のプランか。
サポート内容によって料金が異なる場合が多いです。
マニュアル・FAQオンラインマニュアルやよくある質問(FAQ)、動画チュートリアルなどが充実しているか。
自己解決できる仕組みが整っていると便利です。

導入実績とユーザーの評判

システムの信頼性や実用性を客観的に判断するために、導入実績や第三者からの評価も参考にしましょう。

  • 導入実績の確認:公式サイトに掲載されている導入事例を確認します。自社と同じ業界や同程度の企業規模での導入実績が豊富であれば、自社の課題解決にも繋がる可能性が高いと判断できます。どのような課題を持ち、システム導入によってどう解決されたのか、具体的な事例は非常に参考になります。
  • ユーザーの口コミ・評判の調査:IT製品のレビューサイトやSNSなどで、実際に利用しているユーザーのリアルな声を確認します。特に、サポートの対応品質やシステムの安定性、アップデートの頻度など、公式サイトだけでは分からない情報を得られることがあります。ただし、個人の感想も多いため、あくまで参考情報として多角的に情報を集めることが大切です。

これらの5つのポイントを総合的に評価し、複数のシステムを比較検討することで、自社にとって最適なクラウド型販売管理システムを見つけることができるでしょう。

5. 【2025年版】おすすめのクラウド型販売管理システム15選

ここからは、中小企業や小規模事業者の皆様におすすめのクラウド型販売管理システムを15製品をご紹介します。

各システムの特徴や料金、機能などを比較し、自社に最適な一つを見つけるための参考にしてください。

楽楽販売

株式会社ラクスが提供する「楽楽販売」は、圧倒的なカスタマイズ性の高さが魅力のクラウド型販売管理システムです。

プログラミングの知識がなくても、マウス操作だけで自社の業務フローに合わせて画面や機能を自由に設計できます。Excelやスプレッドシートでの管理に限界を感じている企業や、独自の商習慣を持つ企業に最適です。

項目内容
特徴ノーコードで自社の業務に合わせたシステムを構築可能。案件管理、進捗管理、売上予測など、販売管理以外の業務も一元化できる柔軟性。
主な機能見積管理、受注・売上管理、請求・入金管理、発注・仕入管理、顧客管理、案件管理、帳票出力など
料金プラン初期費用:165,000円(税込)月額費用:77,000円(税込)~
連携性各種会計ソフト、SFA/CRM、電子契約サービスなど、API連携により多くの外部システムと連携可能。
こんな企業におすすめExcelや複数のシステムでの管理から脱却したい企業独自の業務フローや複雑な管理項目がある企業販売管理以外の業務もまとめて効率化したい企業

弥生販売クラウド

会計ソフトで絶大なシェアを誇る弥生株式会社が提供する「弥生販売クラウド」。

同社の「弥生会計」とのシームレスな連携が最大の強みです。

売上データが自動で会計システムに反映されるため、経理業務の手間を大幅に削減できます。信頼と実績のあるブランドで、安心して導入したい企業におすすめです。

項目内容
特徴弥生会計とのスムーズなデータ連携。
分かりやすいインターフェースで、PC操作が苦手な方でも直感的に利用可能。
業界最大規模のカスタマーセンターによる手厚いサポート。
主な機能見積管理、受注・売上管理、請求・回収管理、発注・仕入・支払管理、在庫管理、各種集計表作成
料金プランセルフプラン:年額38,280円(税込)~
ベーシックプラン:年額52,580円(税込)~
連携性弥生会計、やよいの給与計算など、弥生シリーズ製品との強力な連携。
こんな企業におすすめすでに弥生会計を利用している企業会計業務との連携を最優先したい企業導入後のサポート体制を重視する小規模事業者

プロカン

株式会社PROCANが提供する「プロカン」は、広告・IT・Web制作・イベント業界など、プロジェクト型ビジネスに特化した販売管理システムです。

案件ごとの原価管理や採算管理に強く、プロジェクトの収支をリアルタイムで可視化することで、赤字案件の防止に貢献します。

項目内容
特徴プロジェクト単位での詳細な損益管理機能。
案件に紐づく発注・請求を一元管理。
各業界の商習慣に合わせたカスタマイズも可能。
主な機能案件管理、見積管理、発注管理、請求管理、支払管理、原価管理、勤怠・工数管理、帳票出力
料金プラン要問い合わせ
連携性各種会計ソフト(勘定奉行クラウド、freee会計など)とのCSV連携に対応。
こんな企業におすすめ広告、IT、Web制作、イベントなどのプロジェクト単位で業務を行う企業案件ごとの収益性を正確に把握したい企業脱Excelでの案件管理を目指す企業

SMILE V Air

株式会社大塚商会が提供する「SMILE V Air」は、販売管理だけでなく、会計、人事給与までをカバーする中堅・中小企業向けのクラウドERPです。

企業の成長に合わせて必要な機能を追加できる拡張性の高さが特徴で、最初は販売管理からスモールスタートし、将来的に基幹業務全体を統合したい企業に最適です。

項目内容
特徴販売・会計・人事給与のデータを一元管理。
大塚商会によるワンストップの導入支援と手厚いサポート体制。
業種別のテンプレートも用意。
主な機能見積、受注、売上、請求、入金、発注、仕入、在庫管理(オプションで会計、人事給与機能を追加可能)
料金プラン月額費用:11,000円(税込)~ ※1ライセンスあたり
連携性同シリーズの会計・人事給与モジュールと完全連携。BIツールやCRMとの連携も可能。
こんな企業におすすめ将来的に基幹業務全体のクラウド化を視野に入れている企業
事業拡大に合わせてシステムを拡張したい成長企業
導入から運用まで手厚いサポートを求める企業

freee販売

freee株式会社が提供する「freee販売」は、freee会計」との完全同期を実現し、バックオフィス業務全体の自動化を推進するシステムです。

見積書や請求書を作成すると、その内容が自動でfreee会計の帳簿に反映されるため、入力の手間やミスを劇的に削減します。特にスモールビジネスやスタートアップに適しています。

項目内容
特徴freee会計とのリアルタイム同期。
案件ごとのステータス管理や収支管理が可能。
シンプルな操作画面で誰でも使いやすい。
主な機能案件管理、見積書・請求書作成、売上・入金管理、発注・支払管理、収支レポート
料金プランfreee会計のプロフェッショナルプラン以上に含まれる。(要問い合わせ)
連携性freee会計と完全連携。
APIを通じて他のSaaSとの連携も可能。
こんな企業におすすめfreee会計をすでに利用している、または導入を検討している企業
バックオフィス業務全体の効率化・自動化を目指す企業スタートアップや小規模事業者

Scalebase(スケールベース)

Scalebase株式会社が提供する「Scalebase」は、SaaSやサブスクリプションビジネスに特化した販売・請求管理システムです。

ユーザー数に応じた従量課金や、複雑なプラン変更、日割り計算など、継続課金モデル特有の請求業務を自動化します。BtoBのサブスクリプション事業を展開する企業には必須のツールと言えるでしょう。

項目内容
特徴サブスクリプションビジネスのプライシング(料金体系)設計から契約・請求管理までを一元化。
顧客管理(CRM)や会計ソフトとの連携も強力。
主な機能顧客・契約管理、商品・プライシング管理、請求・決済管理、仕訳作成、各種指標の可視化(MRR、Churn Rateなど)
料金プラン要問い合わせ
連携性Salesforce、freee会計、マネーフォワード クラウド会計など、主要なSFA/CRMや会計ソフトとAPI連携。
こんな企業におすすめSaaSなどサブスクリプション型のサービスを提供している企業
複雑な料金プランや頻繁なプラン変更がある企業
事業の重要指標(KPI)を正確に把握したい企業

WorkGear-UZ(クラウド版)

モリックス株式会社が提供する「WorkGear-UZ」は、卸売業や小規模な製造業の業務にフィットする機能を備えた販売・在庫管理システムです。

ロット管理やロケーション管理、セット品管理など、在庫管理を重視する業種に必要な機能が標準で搭載されています。

項目内容
特徴卸売業・製造業向けの豊富な在庫管理機能。
ハンディターミナル連携による入出荷業務の効率化も可能。
低コストで導入できる点も魅力。
主な機能見積、受注、売上、請求、発注、仕入、在庫管理(ロット別・ロケーション別管理、セット品対応など)
料金プラン初期費用:0円月額費用:21,780円(税込)~
連携性各種会計ソフトとのCSV連携に対応。
こんな企業におすすめ在庫管理を強化したい卸売業、小売業、製造業
コストを抑えて本格的な在庫管理システムを導入したい企業
ハンディターミナルを使った業務効率化を図りたい企業

PCAクラウド 商魂

ピー・シー・エー株式会社が提供する「PCAクラウド 商魂」は、長年の実績を持つパッケージソフト「PCA商魂」のクラウド版です。パッケージ版で培われた信頼性と豊富な機能性をそのままクラウドで利用できるのが最大のメリット

安定したシステム運用を求める企業や、すでにPCA製品を利用している企業に適しています。

項目内容
特徴高い信頼性と安定性。詳細な権限設定やログ管理など、内部統制を支援する機能が充実。
「PCA商管(在庫管理)」との連携で、より高度な管理が可能。
主な機能見積、受注、売上、請求、回収管理、各種帳票・分析資料の作成
料金プラン初期費用:要問い合わせ月額費用:14,850円(税込)~ ※1ライセンスあたり
連携性PCAクラウド会計、PCA商管など、PCAクラウドシリーズとのシームレスな連携。
こんな企業におすすめパッケージソフトからの移行を検討している企業内部統制やセキュリティを重視する企業
すでにPCAシリーズの製品を利用している企業

マネーフォワード クラウド

株式会社マネーフォワードが提供する「マネーフォワード クラウド」は、同社のクラウドERP「マネーフォワード クラウドERP」を構成する一つのサービスです。

クラウド会計や請求書発行システムとの連携により、販売から会計まで一気通貫で効率化します。API連携が豊富で、外部サービスと柔軟に組み合わせたい企業におすすめです。

項目内容
特徴マネーフォワード クラウドシリーズとの強力な連携。Salesforceとの連携に強く、営業からバックオフィスまでを繋ぐ。企業の成長に合わせて柔軟に拡張可能。
主な機能販売計画、見積、受注、売上計上、請求、債権管理
料金プランマネーフォワード クラウドERPとしての提供。
要問い合わせ。
連携性マネーフォワード クラウドの各サービス、Salesforceなど、豊富なAPI連携。
こんな企業におすすめすでにマネーフォワード クラウドを利用している企業Salesforceを導入しており、営業とバックオフィスの連携を強化したい企業
APIを活用して自社に最適な業務環境を構築したい企業

アラジンオフィス

株式会社アイルが提供する「アラジンオフィス」は、各業界の商習慣に特化した豊富な機能パッケージが用意されている販売・在庫管理システムです。アパレル・ファッション、食品、医療、鉄鋼・非鉄など、専門性の高い業種にフィットする柔軟なカスタマイズが可能です。

5000社以上の導入実績がその信頼性を物語っています。

項目内容
特徴業種特化型のパッケージで、導入後すぐに業務にフィット。
クラウド版とオンプレミス版を選択可能。
専任の担当者による手厚いサポート体制。
主な機能販売管理、在庫管理、生産管理、顧客管理(業種により機能は異なる)
料金プラン要問い合わせ(企業の規模や業種、カスタマイズ内容により変動)
連携性ECサイト、会計ソフト、POSレジなど、様々な外部システムとの連携実績が豊富。
こんな企業におすすめアパレル、食品、医療など、専門的な商習慣を持つ業種の企業
自社の業務に合わせた柔軟なカスタマイズを求める企業
導入から運用まで一貫したサポートを希望する企業

スマイルワークス(販売ワークス)

株式会社スマイルワークスが提供する「スマイルワークス」は、販売・仕入・在庫管理機能を統合したクラウドサービスです。

月額1万円台から利用できるコストパフォーマンスの高さが最大の魅力で、できるだけ費用を抑えて販売管理システムを導入したい小規模事業者や個人事業主に最適です。

項目内容
特徴低価格ながら販売・仕入・在庫管理の基本機能を網羅。複数拠点での在庫管理にも対応。会計や給与計算の機能もオプションで追加可能。
主な機能見積、受注、売上、請求、発注、仕入、在庫管理、プロジェクト管理
料金プラン初期費用:0円月額費用:11,000円(税込)~
連携性同社の会計・給与ソフトと連携。APIも公開されており、外部連携も可能。
こんな企業におすすめ初めて販売管理システムを導入する小規模事業者
とにかく導入・運用コストを抑えたい企業
シンプルな機能で十分な企業

Clovernet ERPクラウド

NECネクサソリューションズ株式会社が提供する「Clovernet ERPクラウド」は、中堅・中小企業向けの統合基幹業務システムです。

企業の成長に合わせて機能を追加できるスモールスタート可能なERPであり、最初は販売管理モジュールのみを導入し、事業の拡大に伴って会計や人事などの機能を追加していくことができます。

項目内容
特徴NECグループの信頼性と堅牢なデータセンターで運用。
販売・会計・人事・給与を統合管理。多言語・多通貨に対応し、海外展開も支援。
主な機能販売管理、購買・在庫管理、債権・債務管理、財務会計、管理会計、人事・給与管理
料金プラン要問い合わせ
連携性外部システムとのデータ連携インターフェースを標準装備。
こんな企業におすすめIPO(株式上場)を目指している成長企業将来的に基幹業務全体を統合したいと考えている企業
信頼性の高いシステム基盤を求める企業

いえらぶCLOUD らくらく賃貸管理

株式会社いえらぶGROUPが提供する「いえらぶCLOUD」は、不動産業界の専門的な業務フローに完全特化したシステムです。

一般的な販売管理とは異なりますが、賃貸管理における入金管理、請求、オーナーへの送金といった一連のお金の流れを管理するという点で、不動産業界における販売管理システムと言えます。

業界特化型の一例としてご紹介します。

項目内容
特徴賃貸管理業務(入居者管理、契約管理、入出金管理、修繕管理など)を一元化。物件ポータルサイトとの連動や電子契約にも対応。
主な機能入出金管理、請求・支払管理、契約管理、顧客管理、物件管理、帳票出力
料金プラン要問い合わせ
連携性各種物件ポータルサイト、電子契約サービス、家賃保証会社システムなどと連携。
こんな企業におすすめ不動産賃貸管理業を営む企業不動産
業務全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進したい企業

PROACTIVE

SCSK株式会社が提供する「PROACTIVE」は、大手・中堅企業向けの国産ERPパッケージです。内部統制やグループ会社管理に対応する高度な機能を搭載しています。

販売管理においても、複雑な契約形態や取引条件に柔軟に対応できる点が特徴です。

項目内容
特徴豊富な導入実績を持つ純国産ERP。
グループ経営管理やグローバル対応に強み。インボイス制度や電子帳簿保存法など法改正への迅速な対応。
主な機能販売・債権管理、購買・債務管理、在庫管理、経費、財務会計、管理会計、人事・給与
料金プラン要問い合わせ
連携性豊富なAPIやデータ連携ツールにより、様々なシステムとの連携が可能。
こんな企業におすすめ複数のグループ会社を持つ中堅企業以上
厳格な内部統制やセキュリティが求められる企業
海外拠点との連携が必要な企業

FutureStage

株式会社日立システムズが提供する「FutureStage」は、製造業や流通業のサプライチェーン全体をカバーする豊富な機能群を持つ基幹業務ソリューションです。

販売管理、生産管理、在庫管理などがシームレスに連携し、製販一体の効率的な業務プロセスを実現します。

項目内容
特徴製造・流通業の商習慣に精通した業種別テンプレート。
日立グループの総合力を活かした導入・運用サポート。
クラウド、オンプレミス、ハイブリッドなど多様な導入形態に対応。
主な機能販売管理、購買管理、在庫管理、生産管理、輸出入管理、債権債務管理、財務会計
料金プラン要問い合わせ
連携性EDI、BIツール、WMS(倉庫管理システム)など、様々なソリューションとの連携が可能。
こんな企業におすすめ生産管理と販売管理を連携させたい製造業
サプライチェーン全体の最適化を目指す卸売業・小売業
長期的で安定したシステム運用を求める中堅企業

6. クラウド型販売管理システム導入を成功させるための注意点

自社に最適なクラウド型販売管理システムを選定できたとしても、導入プロセスでつまずいてしまっては宝の持ち腐れです。

高機能なシステムを導入したにもかかわらず、「現場で使われず、結局Excel管理に戻ってしまった」という失敗は決して少なくありません。

ここでは、システム導入を成功に導き、その効果を最大限に引き出すための3つの重要な注意点を解説します。

現状業務の棚卸しと課題の明確化

システム導入の検討を始める前に、まず取り組むべき最も重要なステップが「現状把握」です。

目的が曖昧なまま導入を進めると、自社の業務に合わないシステムを選んでしまったり、導入後に「こんなはずではなかった」という事態に陥ったりする原因となります。

具体的には、以下の手順で業務の棚卸しと課題の明確化を進めましょう。

  1. 業務フローの可視化
    見積作成から受注、売上計上、請求書発行、入金消込、在庫管理に至るまで、販売管理に関わる一連の業務プロセスをすべて書き出します。
    誰が(どの部署が)、いつ、どのようなツール(Excel、紙の帳票、既存のソフトなど)を使って作業しているのかをフローチャートなどで図式化すると、全体の流れを客観的に把握しやすくなります。
  2. 課題の洗い出しと優先順位付け
    可視化した業務フローの各段階で、「何に時間がかかっているか」「どのようなミスが発生しやすいか」「どこに情報が属人化しているか」といった課題を洗い出します。
    現場の担当者へのヒアリングを通じて、具体的な問題点をリストアップすることが重要です。
  3. 導入目的の具体化
    洗い出した課題をもとに、「システム導入によって何を達成したいのか」という目的を明確にします。
    「業務を効率化したい」といった漠然とした目標ではなく、「請求書発行にかかる時間を50%削減する」「二重入力を撤廃し、入力ミスをゼロにする」など、具体的で測定可能な目標(KPI)を設定することが、導入後の効果測定と成功への鍵となります。
業務プロセス現状の課題システム導入による理想の状態(導入目的)
見積書作成担当者ごとに書式がバラバラ。
過去の見積もりを探すのに時間がかかる。
統一されたフォーマットで誰でも簡単に見積書を作成でき、承認フローもシステム化する。
受注・売上管理受注情報をExcelに手入力しており、入力ミスや転記漏れが発生する。受注情報を一度入力するだけで、売上データや在庫情報に自動で反映されるようにする。
在庫管理リアルタイムの在庫数が分からず、営業担当が都度、倉庫担当に確認している。
欠品や過剰在庫が発生しやすい。
いつでも正確な在庫状況をシステム上で確認でき、適正在庫を維持できるようにする。
請求・入金管理請求漏れがないか月末に目視で確認しており、負担が大きい。
入金消込も手作業で時間がかかる。
売上データと連携して請求書を自動発行し、請求漏れを防ぐ。
入金データも自動で取り込み、消込作業を効率化する。

データ移行と既存システムとの連携計画

新しいシステムをスムーズに稼働させるためには、これまで蓄積してきたデータの移行と、現在利用している他のシステムとの連携が避けて通れない課題です。

この計画が不十分だと、導入スケジュールが大幅に遅れたり、業務が一時的にストップしたりするリスクがあります。

データ移行計画の策定

過去の取引履歴や顧客情報、商品マスタなどを新しいシステムへ移行する作業は、想像以上に時間と手間がかかります。事前に周到な計画を立てることが不可欠です。

  • 移行対象データの精査
    現在使用しているすべてのデータが必要とは限りません。
    移行するデータ(顧客マスタ、商品マスタ、取引履歴など)と、これを機に破棄するデータを明確に切り分け、事前にデータのクレンジング(重複削除や表記ゆれ統一など)を行うことで、移行作業の負担を軽減し、新システムをクリーンな状態でスタートできます。
  • 移行方法とスケジュールの確認
    多くのクラウド型システムではCSVファイルによる一括インポート機能が用意されています。
    ベンダーによってはデータ移行のサポートサービスを提供している場合もあります。
    自社で対応するのか、ベンダーの支援を受けるのかを決め、リハーサル期間を含めた詳細なスケジュールを立てましょう。

既存システムとの連携計画

販売管理システムは、会計システムやCRM/SFA(顧客管理/営業支援システム)、ECサイトのカートシステムなど、他のシステムと連携させることで真価を発揮します。連携を検討する際は、以下の点を確認しましょう。

  • 連携の必要性と範囲の特定
    どのシステムと、どのようなデータを連携させる必要があるのかを明確にします。
    例えば、「販売管理システムの売上データを会計システムに自動で取り込みたい」「CRMの顧客情報と販売管理システムの取引履歴を同期させたい」など、具体的な要件を整理します。
  • 連携方法の確認
    システム間の連携には、API(Application Programming Interface)を利用した自動連携や、CSVファイルを手動でエクスポート・インポートする方法などがあります。
    API連携に対応しているシステム同士であれば、リアルタイムかつ自動でデータが同期されるため、業務効率が飛躍的に向上します
    導入を検討しているシステムが、既存システムとのAPI連携に対応しているか必ず確認しましょう。

社内への浸透と利用定着化の推進

どんなに優れたシステムを導入しても、実際に利用する従業員が使いこなせなければ意味がありません。

「導入して終わり」ではなく、社内に浸透させ、全員が当たり前に活用できる状態にするための取り組みが成功を左右します。

導入目的の共有と推進体制の構築

新しいシステムの導入は、これまでの業務のやり方を変えることを意味します。現場の従業員からは、変化に対する抵抗感が生まれることも少なくありません。これを乗り越えるためには、事前の丁寧な説明が不可欠です。

  • トップダウンでの目的共有
    経営層から「なぜこのシステムを導入するのか」「導入によって会社や従業員にどのようなメリットがあるのか」というビジョンを明確に伝えましょう。
    「やらされ感」ではなく、全社一丸となって取り組むプロジェクトであるという当事者意識を醸成することが重要です。
  • 推進チームの結成
    情報システム部門だけでなく、営業、経理、倉庫管理など、実際にシステムを利用する各部署からキーパーソンを選出してプロジェクトチームを組みましょう。
    現場の意見を吸い上げ、導入後の運用ルール作りなどを主導する役割を担ってもらいます。

継続的なトレーニングとサポート体制

システムを定着させるには、導入後の継続的なフォローアップが欠かせません。

  • 段階的な操作トレーニング
    システム提供ベンダーが実施する導入研修に加え、社内でも勉強会を定期的に開催します。
    全機能をはじめから完璧に覚えるのは困難なため、まずは日常的に使う基本操作から習得し、徐々に応用的な機能へとステップアップしていく計画が効果的です。
  • マニュアルとFAQの整備
    誰でも参照できる場所に、分かりやすい操作マニュアルや、よくある質問とその回答(FAQ)をまとめたドキュメントを用意しておきましょう。動画マニュアルを作成するのも有効です。
  • 社内ヘルプデスクの設置
    操作で困ったときに気軽に質問できる社内窓口(前述の推進チームが兼任するなど)を設けることで、利用者の不安を解消し、利用を促進します。

7. クラウド型販売管理システムに関するよくある質問

クラウド型販売管理システムの導入を検討する際、多くの中小企業・小規模事業者の担当者様が抱く疑問について、Q&A形式で詳しく解説します。システム選定や導入準備の参考にしてください。

既存システムからのデータ移行は可能ですか

はい、多くのクラウド型販売管理システムでは、既存システムからのデータ移行に対応しています。

ただし、移行方法や対象となるデータの範囲はシステムによって異なるため、契約前に必ず確認が必要です。主なデータ移行方法には以下のようなものがあります。

  • CSVファイルによるインポート:最も一般的な方法です。現在お使いのシステムから顧客マスタ、商品マスタ、取引履歴などのデータをCSV形式で出力し、新しいシステムに一括で取り込みます。多くのシステムがこの機能に対応しており、比較的低コストで実施できます。
  • API連携:システム同士をプログラムで直接つなぎ、データを自動で同期する方法です。初期設定が必要ですが、手作業によるミスがなく、リアルタイムでのデータ連携が可能です。他のクラウドサービス(会計ソフトやECサイトなど)と連携する場合に特に有効です。
  • ベンダーによる移行サポート:システム提供会社がデータ移行作業を代行してくれるサービスです。専門のスタッフが対応するため安心ですが、別途費用がかかる場合があります。移行するデータが大量・複雑な場合や、社内にIT担当者がいない場合に検討すると良いでしょう。

データ移行をスムーズに進めるためには、移行前に既存データの整理・クレンジング(名寄せ、重複削除、表記ゆれ修正など)を行っておくことが非常に重要です。

インボイス制度や電子帳簿保存法に対応していますか

現在提供されている主要なクラウド型販売管理システムのほとんどは、インボイス制度(適格請求書等保存方式)と改正電子帳簿保存法に対応しています。

法改正への迅速な対応は、クラウド型システムを導入する大きなメリットの一つです。具体的には、以下のような機能が搭載されています。

法令主な対応機能
インボイス制度適格請求書発行事業者登録番号の管理・記載税率ごとの消費税額および合計額の自動計算適格請求書(インボイス)の要件を満たした請求書・領収書などの発行受け取った適格請求書のデータ保存
電子帳簿保存法請求書や見積書などの電子データを、法令要件を満たして保存する機能タイムスタンプの付与(またはそれに代わる訂正・削除履歴の確保)「取引年月日」「取引金額」「取引先」での検索機能

クラウドサービスは、法改正があるとベンダー側でシステムを自動的にアップデートしてくれるため、ユーザーは常に最新の法令に準拠した環境で業務を行うことができます。

自社で法改正の情報を追いかけ、システムを改修する必要がない点は、特に専門部署を持たない中小企業にとって大きな安心材料となります。

導入までにかかる期間はどれくらいですか?

導入期間は、企業の規模、業務の複雑さ、カスタマイズの有無、データ移行の量などによって大きく変動します。

自社の状況に合わせて、余裕を持ったスケジュールを組むことが成功の鍵です。以下に一般的な目安を示します。

企業の状況導入期間の目安主な導入プロセス
小規模事業者・個人事業主(標準機能のみ利用)最短1週間~1ヶ月程度アカウント登録後、基本的なマスタ設定(商品・顧客情報など)を行い、すぐに利用を開始できます。
中小企業(既存データ移行・業務フローに合わせた設定あり)2ヶ月~6ヶ月程度現状業務のヒアリング、要件定義、システム設定、データ移行、操作トレーニング、テスト運用などを経て本稼働となります。
中堅企業以上(基幹システム連携・大規模なカスタマイズあり)6ヶ月~1年以上詳細な要件定義、外部システムとの連携開発、大規模なデータ移行、複数部署へのトレーニングなど、綿密なプロジェクト管理が必要になります。

導入に使える補助金はありますか

はい、中小企業・小規模事業者がクラウド型販売管理システムを導入する際に活用できる補助金制度があります。

代表的なものとして「IT導入補助金」が挙げられます。補助金を活用することで、初期費用や月額利用料の負担を大幅に軽減できます。

以下に代表的な補助金制度を紹介します。

  • IT導入補助金
    中小企業・小規模事業者の生産性向上を目的とし、ITツール(ソフトウェア、クラウド利用料など)の導入経費の一部を補助する制度です。多くの販売管理システムが対象ツールとして登録されています。申請枠が複数あり、インボイス制度対応のためのシステム導入に特化した枠(デジタル化基盤導入類型)などもあります。
  • ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
    革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する補助金です。業務効率化を目的としたシステム導入も対象となる場合があります。
  • 事業再構築補助金
    ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、新分野展開や事業転換など、思い切った事業再構築に挑戦する中小企業を支援する補助金です。事業再構築計画の一環としてシステムを導入する場合に活用できる可能性があります。

これらの補助金は、公募期間や申請要件が定められており、制度内容も変更される可能性があるため、必ず中小企業庁や各補助金の公式サイトで最新情報を確認してください。

また、IT導入補助金を利用する場合は、導入したいシステムの提供ベンダーが「IT導入支援事業者」として登録されている必要がありますので、事前に確認しましょう。

導入後のサポート体制はどのようになっていますか

導入後のサポート体制は、提供ベンダーや契約する料金プランによって大きく異なります。

自社のITリテラシーや運用体制に合わせて、最適なサポートが受けられるシステムを選ぶことが、導入後の安定稼働には欠かせません。サポート体制を確認する際は、以下のポイントをチェックしましょう。

確認ポイント内容の例
問い合わせ方法電話、メール、チャット、専用フォームなど。複数の手段が用意されていると安心です。
サポート対応時間平日9時~17時、24時間365日など。自社の業務時間内に対応してもらえるかを確認しましょう。
サポートの範囲操作方法の案内、技術的なトラブルシューティング、設定の代行、活用方法のコンサルティングなど。プランによって範囲が異なることが多いです。
担当者の形式都度担当者が変わるヘルプデスク形式か、自社を専任で担当してくれるカスタマーサクセス担当者がつくか。
追加料金の有無基本サポートは無料か、オプションで有料サポートがあるか。電話サポートが有料の場合もあります。

一般的に、低価格なプランはメールやチャットのみのサポート、高価格なプランでは電話サポートや専任担当者による手厚い支援が受けられる傾向にあります。

無料トライアル期間などを活用して、実際のサポートの対応品質やレスポンスの速さを体験してみることをおすすめします。

8. まとめ

本記事では、中小企業・小規模事業者におすすめのクラウド型販売管理システム15選と、失敗しないための選び方を解説しました。

クラウド型システムは、コスト削減や業務効率化はもちろん、インボイス制度などの法改正へもスムーズに対応できる点が大きなメリットです。

自社の業務フローや課題を明確にした上で、本記事で紹介した選び方のポイントを参考に、最適なシステムの導入を検討しましょう。

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