近年、企業の競争力を高め、持続的な成長を実現するための重要な経営戦略として、「経理DX」への注目が急速に高まっています。
しかし、「DXとデジタル化の違いが分からない」「何から手をつければ良いのか」「具体的なメリットは?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、経理DXの基本的な考え方から、デジタル化との違い、そしてなぜ今経理DXが求められているのかを分かりやすく解説します。
さらに、業務効率化やコスト削減、迅速な経営判断の実現、働き方改革といった具体的なメリットに加え、現状分析からシステム選定、運用・定着までの進め方をステップごとに整理します。
また、実際の成功事例・失敗事例を通じて、経理DXを推進する際に陥りやすいポイントや注意点も詳しく解説。
属人化やアナログ業務に悩む経理部門が、企業の成長を支える「戦略的な経理部門」へと変革するための実践的なヒントをお届けします。
この記事を読むことで、貴社にとって最適な経理DXの進め方が明確になり、競争力強化と持続的成長に向けた第一歩を踏み出せるはずです。
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経理DXとは何か|基本概念と注目される背景

企業活動において、経理部門は会社の「お金」を管理する重要な役割を担っています。
しかし、その業務は長らく紙ベースでの処理や手作業が多く、非効率性や属人化といった課題を抱えてきました。
近年、デジタル技術の進化とビジネス環境の急速な変化に伴い、経理部門も大きな変革期を迎えています。その中心にあるのが「経理DX」です。
この章では、経理DXの基本的な概念から、従来のデジタル化との違い、そしてなぜ今、経理DXが企業にとって不可欠な取り組みとなっているのかを深掘りして解説します。
経理DXの定義と基本的な考え方
「経理DX」とは、単に経理業務にデジタルツールを導入するだけではありません。
デジタル技術とデータを活用し、経理業務のプロセス、組織体制、さらには企業文化そのものを変革することで、新たな価値を創造し、競争優位性を確立することを指します。
具体的には、RPA(Robotic Process Automation)による定型業務の自動化、AIを活用したデータ分析、クラウド会計システムによる情報共有の促進などを通じて、経理部門が「集計・記録」中心の業務から、経営戦略を立案・実行するための「情報提供・分析」を担う戦略的な部門へと進化することを目指します。
経理DXの基本的な考え方は、以下の3つの柱で構成されます。
- 業務プロセスの変革
非効率な手作業や紙ベースの業務をデジタル化し、自動化・最適化することで、業務フロー全体を見直します。 - データ活用の高度化
経理データをリアルタイムで収集・分析し、経営状況の可視化や将来予測に役立てることで、迅速かつ的確な意思決定を支援します。 - 組織文化の変革
デジタル技術を積極的に活用するマインドセットを醸成し、従業員のスキルアップや新たな役割への適応を促します。
経理のデジタル化とDXの違い
「デジタル化」と「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は混同されがちですが、その目的と目指す変革のレベルにおいて明確な違いがあります。
経理業務においても、この違いを理解することがDX推進の第一歩となります。
| 比較項目 | 経理のデジタル化(Digitization/Digitalization) | 経理DX(Digital Transformation) |
| 目的 | 既存業務の効率化・省力化 | ビジネスモデルや企業文化の変革 新たな価値創造 |
| 対象 | 個別の業務プロセスや情報 (例:紙の書類をPDF化、手作業をExcelで自動化) | 経理部門全体 ひいては企業全体のビジネスプロセス、組織、文化 |
| 変化の度合い | 漸進的な改善 | 抜本的な変革 |
| 最終目標 | コスト削減 作業時間の短縮 ペーパーレス化 | 競争優位性の確立 経営への貢献 持続的成長 |
| 具体例 | 会計ソフトの導入 経費精算システムの導入 請求書の電子化 | AIによる不正検知 リアルタイム経営ダッシュボード構築 予実管理の高度化 戦略経理への転換 |
経理のデジタル化は、あくまで既存の業務を効率化するための手段であり、DXはその先にある企業全体の変革と価値創造を目指すものです。
デジタルツールを導入するだけでなく、それによって何を変え、どのような未来を創るのかという視点がDXには不可欠です。
なぜ今、経理DXが求められているのか
現代のビジネス環境において、経理DXはもはや選択肢ではなく、企業が生き残り、成長するための必須要件となりつつあります。
その背景には、以下のような複数の要因が複合的に絡み合っています。
- 少子高齢化による人手不足と働き方改革の推進
労働人口の減少は、経理部門における人材確保を困難にしています。
また、働き方改革による残業時間の削減や多様な働き方への対応も求められており、限られたリソースで業務を遂行するための効率化と自動化が喫緊の課題です。 - 法改正への対応とガバナンス強化
電子帳簿保存法の改正やインボイス制度の導入など、経理関連の法改正はデジタル化を前提としたものが増えています。
これらに適切に対応し、企業としてのコンプライアンスとガバナンスを強化するためにも、経理DXは不可欠です。 - グローバル競争の激化と経営判断の迅速化
市場の変化が激しくなる中で、企業は迅速な意思決定を求められています。
経理部門がリアルタイムで正確な経営データを提供できなければ、競争力を失うリスクがあります。
DXにより、データの可視化と分析を強化し、経営層の意思決定を強力にサポートする必要があります。 - 既存業務の非効率性と属人化の解消
多くの企業で、経理業務は未だに手作業が多く、紙の書類の処理、Excelでの集計、ベテラン社員に業務が集中する属人化といった課題を抱えています。
これらはヒューマンエラーのリスクを高め、業務効率を著しく低下させます。DXはこれらの課題を根本から解決する手段となります。 - 経理部門の戦略的役割への期待
単なるコストセンターではなく、企業の成長を支える戦略的なパートナーとして経理部門への期待が高まっています。
DXを通じて、定型業務から解放された経理担当者は、データ分析や予算策定、M&A支援など、より高度で付加価値の高い業務に注力できるようになります。
これらの背景から、経理DXは企業が持続的に成長し、競争力を維持していくために、避けては通れない重要な経営課題となっているのです。
経理DXで解決できる課題と得られるメリット

業務効率化・生産性向上のメリット
経理部門は、請求書発行、経費精算、仕訳入力、月次決算など、多岐にわたる業務を日々こなしています。
これらの業務は、依然として手作業や紙ベースでの処理が多く、入力ミスや確認作業に膨大な時間が費やされているのが現状です。
経理DXは、このような非効率な業務プロセスを根本から見直し、自動化やデータ連携を推進することで、劇的な業務効率化と生産性向上を実現します。
例えば、請求書発行業務では、販売管理システムと会計システムを連携させることで、売上データから自動で請求書を作成し、電子発行することが可能になります。
また、経費精算においては、スマートフォンアプリでの領収書読み取りと自動仕訳、承認ワークフローの電子化により、従業員の申請から経理処理までの時間を大幅に短縮できます。
これにより、経理担当者は定型業務から解放され、より戦略的な分析業務や経営企画への参画といった付加価値の高い業務に注力できるようになります。
| 業務項目 | DX前の課題 | DXによるメリット |
| 仕訳入力 | 手入力によるミス 膨大な時間 | 自動仕訳 データ連携による入力工数削減と精度向上 |
| 請求書発行 | 手作業での作成・郵送 確認作業 | 自動作成・電子発行 ペーパーレス化 発行リードタイム短縮 |
| 経費精算 | 紙の領収書 申請・承認の手間 差し戻し | スマホアプリ連携 自動仕訳 電子承認で大幅な時間短縮 |
| 月次決算 | データ収集・集計に時間がかかる 遅延 | リアルタイムデータ連携 自動集計で決算早期化 |
コスト削減と経営資源の最適化
経理DXは、単なる業務効率化に留まらず、企業全体のコスト構造に大きな影響を与えます。紙の削減による印刷費や郵送費、保管スペースのコスト削減はもちろんのこと、業務プロセスの自動化は、残業時間の削減や人員配置の最適化を可能にし、結果として人件費の抑制にもつながります。
また、クラウド型システムを導入することで、自社でサーバーを構築・運用する手間やコストが不要となり、初期投資を抑えつつ最新のシステム環境を利用できます。
これにより、限られた経営資源をより戦略的な分野へ再配分することが可能となり、企業の競争力強化に貢献します。
無駄なコストを削減し、最適化された経営資源を最大限に活用できる点は、経理DXがもたらす重要なメリットの一つです。
データの可視化と迅速な経営判断
従来の経理業務では、会計データがタイムラグを持って集計されるため、経営層がリアルタイムで正確な財務状況を把握することは困難でした。
しかし、経理DXにより、会計システムや販売管理システム、経費精算システムなどが連携し、データが一元化されることで、常に最新の財務情報をダッシュボードなどで可視化できるようになります。
これにより、経営層は売上、利益、キャッシュフローといった重要な経営指標をリアルタイムで把握し、市場の変化や事業環境の変動に対して、より迅速かつ的確な経営判断を下すことが可能になります。
予実管理の精度向上、キャッシュフロー分析の強化、さらには将来の事業計画策定における予測精度向上にもつながり、企業の持続的な成長を強力に後押しします。
働き方改革・属人化解消への効果
経理業務のデジタル化は、従業員の働き方にも大きな変革をもたらします。
クラウドシステムや電子承認ワークフローの導入により、オフィスに出社しなくても業務を遂行できるため、リモートワークやフレックスタイム制といった柔軟な働き方が実現しやすくなります。
これにより、従業員のワークライフバランスが向上し、企業全体のエンゲージメントを高める効果が期待できます。
さらに、経理DXは、特定の従業員しか業務内容を把握していない「属人化」という長年の課題を解消します。
業務プロセスをシステムに組み込み、標準化することで、誰が担当しても同じ品質で業務が進められるようになります。
これにより、担当者の退職や異動による業務停滞リスクが低減し、組織全体の持続可能性と安定性が向上します。
また、業務が可視化・標準化されることで、新入社員の教育コスト削減や、内部統制の強化にも寄与します。
経理DXを進めるための具体的なステップ

経理DXは、単にデジタルツールを導入するだけでは成功しません。戦略的な計画と段階的な実行が不可欠です。
ここでは、経理DXを効果的に推進するための具体的な4つのステップを解説します。
ステップ1|現状分析と課題の明確化
経理DXの最初のステップは、自社の経理業務の現状を正確に把握し、デジタル化によって解決すべき具体的な課題を明確にすることです。
このフェーズを疎かにすると、導入したシステムが業務に合わず、期待する効果が得られないといった失敗につながりかねません。
具体的には、以下の項目について詳細な分析を行います。
| 分析項目 | 具体的なアクション | 目的・期待される成果 |
| 業務フローの可視化 | 経理部門の全業務プロセスを洗い出し、フローチャートなどで図式化します。 手作業で行われている業務、システムを利用している業務、他部署との連携状況などを詳細に記述します。 | 業務全体像を把握し、ボトルネックや非効率なプロセスを特定します。 |
| 担当者へのヒアリング | 各業務の担当者から、日々の業務で困っている点、時間がかかっている作業、ミスが発生しやすいポイント、属人化している業務などを具体的に聞き取ります。 | 現場のリアルな課題やニーズを把握し、DXの方向性を定めるための重要な情報とします。 |
| リソース評価 | 各業務にかかる時間、コスト(人件費、紙代など)、人的リソース(担当者の数、スキルレベル)を定量的に評価します。 | 現在の業務における非効率性を数値で把握し、DXによる改善効果を測定するためのベースラインを設定します。 |
| 課題の特定と優先順位付け | 洗い出した非効率な業務や問題点の中から、DXによって解決すべき具体的な課題を特定します。 解決の難易度、効果の大きさなどを考慮し、優先順位をつけます。 例えば、手作業でのデータ入力、紙ベースの承認フロー、月次決算の遅延などが挙げられます。 | 解決すべき課題を明確にすることで、次ステップのDX戦略策定に繋がる具体的な目標設定が可能になります。 |
このステップで得られた情報は、次に来るDX戦略の策定において非常に重要な基盤となります。
客観的なデータと現場の声に基づき、課題を深く掘り下げることが成功への第一歩です。
ステップ2|DX戦略の策定と目標設定
現状分析で明確になった課題に基づき、経理DXで何を目指すのか、具体的な目標と戦略を策定するステップです。
漠然とした目標ではなく、具体的な数値目標を設定することが重要です。
このステップでは、以下の要素を検討し、文書化します。
- DXビジョンの共有
経営層を含め、経理DXを通じて達成したい最終的な姿や企業価値向上への貢献を明確にし、関係者間で共有します。 - 目標設定
- 定量的目標: 「月次決算期間を〇営業日短縮」「経理部門の残業時間を〇%削減」「誤入力件数を〇%削減」など、具体的な数値で測定可能な目標を設定します。
- 定性的目標: 「従業員のモチベーション向上」「経営判断の迅速化」「監査対応の効率化」など、数値化が難しいものの重要な目標も設定します。
目標設定にはSMART原則(Specific: 具体的に、Measurable: 測定可能に、Achievable: 達成可能に、Relevant: 関連性があり、Time-bound: 期限を設ける)を活用すると効果的です。
- 戦略の立案
- 優先順位付け: ステップ1で特定した課題のうち、どの業務からDXに着手するか優先順位を決定します。
効果が大きく、実現可能性が高いものから始める「スモールスタート」も有効です。 - 導入システムの方向性: どのような種類のシステム(例:会計システム、ワークフローシステム、RPAなど)を導入するのか、大まかな方向性を定めます。
- 予算・スケジュール・体制の検討: DX推進に必要な予算、全体スケジュール、プロジェクトメンバーや責任者を含む推進体制を具体的に検討し、決定します。
- 優先順位付け: ステップ1で特定した課題のうち、どの業務からDXに着手するか優先順位を決定します。
この段階で経営層のコミットメントを得て、組織全体でDXを推進する体制を確立することが成功の鍵となります。
ステップ3|ツール・システムの選定と導入
策定したDX戦略と目標に基づき、最適なツールやシステムを選定し、実際に導入を進めるステップです。
市場には多様な経理DXツールが存在するため、自社の要件に合致するものを見極めることが重要です。
具体的なプロセスは以下の通りです。
- 要件定義の具体化
ステップ2で定めた戦略に基づき、導入するシステムに求める具体的な機能要件、性能要件、セキュリティ要件、既存システムとの連携要件、費用の上限などを詳細に定義します。
例えば、「自動仕訳機能」「電子帳簿保存法対応」「クラウド対応」「〇人分のユーザーライセンス」などです。 - 情報収集とベンダー選定
複数のシステムベンダーから情報(製品カタログ、デモンストレーション、導入事例など)を収集し、自社の要件にどれだけ合致するかを比較検討します。機能性だけでなく、操作性、拡張性、サポート体制、費用対効果なども総合的に評価します。
比較検討のポイントの例- 機能性: 自社の業務に必要な機能が網羅されているか。
- 既存システムとの連携性: 現在利用している販売管理システムや人事システムなどとのデータ連携が可能か。
- 拡張性・柔軟性: 将来的な業務拡大や法改正に対応できる柔軟性があるか。
- セキュリティ: データ保護やアクセス管理など、セキュリティ対策は十分か。
- 操作性: 経理担当者がスムーズに利用できる直感的な操作性があるか。
- 導入実績・サポート体制: 同業他社での導入実績や、導入後のサポート体制(問い合わせ窓口、保守サービスなど)は充実しているか。
- 費用: 初期費用、月額費用、追加オプション費用など、トータルコストは予算内か。
- 導入計画の策定と実行
選定したシステムの導入スケジュール、データ移行計画、テスト計画、担当者の役割分担などを詳細に策定します。
その後、計画に基づいてシステムの設定、データ移行、連携テストなどを実行します。 - 初期運用と検証
本格導入の前に、一部の業務や部門でシステムを試行的に運用し、問題点や改善点がないかを確認します。
この段階で細かな調整を行い、本稼働に備えます。
ツールの選定は、単に機能の多寡だけでなく、自社の業務プロセスにフィットするか、そして長期的に利用できるかという視点が重要です。
ステップ4|運用定着と効果測定・改善
システムを導入しただけでは経理DXは成功とは言えません。
導入したシステムが現場に定着し、設定した目標が達成されているかを確認し、継続的に改善していくことが重要です。
このステップでは、以下の活動を行います。
- 運用マニュアルの作成と従業員教育
新しいシステムや業務フローに関する詳細な運用マニュアルを作成し、経理部門の全従業員に対して丁寧な研修を実施します。
疑問点や不明点を解消するためのQ&Aセッションや、操作練習の機会を設けることで、従業員が新しいシステムを使いこなせるようにサポートします。
現場の従業員が新しいツールを抵抗なく受け入れ、積極的に活用できるようになるための手厚いサポートが、運用定着には不可欠です。 - 効果測定と評価
ステップ2で設定した定量的・定性的目標に基づき、定期的に効果を測定します。
例えば、月次決算期間の短縮、残業時間の削減、誤入力率の変化、従業員アンケートによる満足度調査などを実施します。
KPI(Key Performance Indicator)を設定し、その達成度を客観的に評価することで、DXの効果を可視化します。 - 継続的な改善活動
効果測定の結果や、システム利用者からのフィードバックに基づき、新たな課題を抽出します。
システムの運用設定の微調整、業務フローの見直し、追加機能の検討など、継続的な改善活動を実施します。PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を回すことで、DXの効果を最大化し、常に最適な状態を維持します。
経理DXは一度導入して終わりではなく、環境変化や技術の進化に合わせて常に改善を続ける「旅」のようなものです。
これらのステップを段階的に踏むことで、経理DXは単なるデジタル化に終わらず、企業の競争力強化に貢献する真の変革へと繋がります。
経理DXを支える主要システムと役割

経理DXの推進は、単一のシステム導入で完結するものではなく、複数のシステムを連携させ、業務プロセス全体を最適化することで実現されます。
ここでは、経理DXを強力に支える主要なシステム群と、それぞれのシステムが果たす役割、そしてDX推進においてどのように機能するのかを具体的に解説します。
これらのシステムは、データの自動連携や一元管理を可能にし、手作業による入力ミスや重複作業を排除することで、経理業務の効率化とデータ活用の高度化に貢献します。
販売管理・請求管理システム
販売管理・請求管理システムは、企業の売上に関わる一連の業務を管理するシステムです。
具体的には、見積もり作成、受注、売上計上、出荷、請求書発行、入金管理といったプロセスをカバーします。
経理DXにおいては、このシステムが生成する売上データや請求データを、後続の会計システムへ自動的かつ正確に連携させることが極めて重要です。
これにより、手作業による売上計上や請求書作成が不要となり、ヒューマンエラーの削減と業務の迅速化が図られます。
主な役割とDXへの貢献は以下の通りです。
- 売上計上と請求書発行の自動化: 受注データに基づき、売上を自動で計上し、請求書を自動発行します。電子請求書発行機能を持つシステムであれば、郵送コストや手間も削減できます。
- 債権管理の効率化: 顧客ごとの売掛金残高や入金状況を一元管理し、入金消込作業を効率化します。未入金発生時には自動でアラートを出す機能なども備わっています。
- 会計システムとの連携: 販売データや請求データを会計システムへ自動連携することで、二重入力の手間を省き、会計処理の迅速化とデータの一貫性を確保します。
会計・債権債務管理システム
会計・債権債務管理システムは、企業の財務状況を記録・管理し、財務諸表を作成するための基幹システムです。
仕訳入力、総勘定元帳の作成、試算表や決算書の出力、さらには売掛金や買掛金といった債権債務の管理を行います。
経理DXにおけるこのシステムの役割は、他システムから集約されたデータを基に、リアルタイムで正確な財務情報を提供し、経営判断のスピードと質を高めることにあります。
また、債権債務の適切な管理は、キャッシュフローの健全性維持に直結します。
主な役割とDXへの貢献は以下の通りです。
- 仕訳の自動生成とデータ連携: 販売管理、経費精算、銀行口座など、他システムや外部データと連携し、仕訳を自動生成します。これにより、手入力による仕訳作業が大幅に削減されます。
- リアルタイムな財務状況の可視化: 最新のデータに基づき、いつでも試算表や損益計算書、貸借対照表などの財務諸表を出力でき、経営層は迅速に現状を把握できます。
- 債権・債務管理の精度向上: 売掛金や買掛金の発生から回収・支払までを一元管理し、滞留債権の早期発見や支払漏れの防止に貢献します。
- 決算業務の効率化: 自動仕訳やデータ集計機能により、月次・年次決算業務にかかる時間を短縮し、経理担当者の負担を軽減します。
ワークフロー・承認管理システム
ワークフロー・承認管理システムは、稟議書、申請書、経費精算、支払申請など、企業内で発生する様々な申請・承認プロセスを電子化し、効率的に管理するシステムです。
経理DXにおいて、このシステムはペーパーレス化と内部統制の強化に不可欠です。
紙媒体での申請・承認プロセスを電子化することで、承認までのリードタイムを短縮し、申請状況の可視化、そして証跡の確実な記録を実現します。
主な役割とDXへの貢献は以下の通りです。
- 申請・承認プロセスの迅速化: 電子化されたワークフローにより、申請書の回覧や承認がオンライン上で完結し、場所や時間を選ばずに処理が進められます。
- ペーパーレス化の推進: 紙媒体での書類作成、印刷、保管が不要となり、コスト削減と環境負荷低減に貢献します。
- 内部統制の強化と透明性の向上: 承認ルートの明確化、承認履歴の自動記録により、不正防止や監査対応が容易になります。誰がいつ承認したかが明確に記録されます。
- 他システムとの連携による効率化: 経費精算システムや会計システムと連携することで、承認済みの経費データや支払データを自動で会計処理に反映させ、二重入力を排除します。
RPA・自動化ツールとの連携
RPA(Robotic Process Automation)は、ロボットによる業務自動化を指し、主に定型的なPC操作を自動実行するソフトウェアロボットです。
経理業務には、データ入力、データ照合、レポート作成、システム間のデータ連携など、RPAが適用可能な定型業務が数多く存在します。
経理DXにおいてRPAは、既存のシステムでは自動化が難しい「システム間の隙間」や「手作業が残る部分」を補完し、業務全体の自動化率を飛躍的に向上させる役割を担います。
これにより、人的ミスの削減と処理速度の向上が期待できます。
主な役割とDXへの貢献は以下の通りです。
- 定型業務の自動化: 請求書データのシステムへの入力、銀行口座の入出金明細の取り込みと消込、複数のシステムからのデータ抽出と集計、レポート作成など、繰り返し発生する単純作業をロボットが代行します。
- ヒューマンエラーの削減: ロボットはプログラムされた通りに正確に作業を実行するため、手作業に起因する入力ミスや転記ミスを根本的に排除できます。
- 業務処理速度の向上: ロボットは24時間365日稼働できるため、人間の手では不可能な速度で大量のデータを処理し、業務のリードタイムを大幅に短縮します。
- 従業員の付加価値業務へのシフト: RPAが定型業務を代替することで、経理担当者はデータ分析、戦略立案、経営改善提案など、より高度で創造的な業務に集中できるようになります。
経理DXの成功事例と失敗から学ぶ注意点

経理DXの推進は、単に新しいシステムを導入すれば成功するものではありません。
多くの企業が試行錯誤を重ねる中で、目覚ましい成果を上げている事例もあれば、期待通りの効果が得られずに終わってしまうケースもあります。
ここでは、具体的な成功事例からDX推進のヒントを得るとともに、失敗事例に共通する原因を深く掘り下げ、今後のDX戦略に活かすための教訓を学びましょう。
中小企業における経理DX成功事例
中小企業では、限られたリソースの中でいかに効率化を図るかが重要です。
ここでは、身近な業務のDXによって大きな成果を出した事例を紹介します。
| 事例 | 主な課題 | 導入したDXソリューション | 得られた主な成果 |
| 請求書業務の効率化 | 手作業による請求書発行・受領、郵送作業に時間がかかる紙の保管コスト、紛失リスク入力ミスによる再発行や確認作業の発生 | クラウド型請求書発行・受領システム会計システムとの連携 | 請求書の発行・受領業務にかかる時間を約80%削減郵送費や印刷コストの削減入力ミスがゼロになり、経理担当者の精神的負担が軽減リモートワーク環境下での業務継続が可能に |
| 経費精算のペーパーレス化 | 従業員による領収書の糊付け、手入力作業承認フローの滞留、差し戻しによる時間ロス経理部門での領収書チェック、仕訳入力の負担 | クラウド型経費精算システム交通系ICカード連携 法人カード連携会計システムとの連携 | 経費精算業務にかかる時間を約70%短縮領収書のペーパーレス化により保管コスト削減承認フローがスムーズになり、従業員の立替精算が迅速化経費利用状況のリアルタイムな可視化によるコスト管理強化 |
| 月次決算の早期化 | 販売データと会計データの手動連携による二重入力部門別集計や分析に時間がかかり、経営判断が遅れる決算期に業務が集中し、残業が増加する | 販売管理システムと会計システムのAPI連携RPAによる定型入力作業の自動化 | 月次決算の締め作業を5営業日短縮リアルタイムに近い経営状況の把握が可能に経理担当者の残業時間を大幅に削減し、生産性が向上データに基づく迅速な経営判断を支援 |
大企業における経理DX成功事例
大企業では、組織の複雑性やデータ量の多さ、グローバル展開など、中小企業とは異なる課題を抱えています。
ここでは、大規模なDXプロジェクトを通じて、業務の変革を成し遂げた事例を紹介します。
| 事例 | 主な課題 | 導入したDXソリューション | 得られた主な成果 |
| グループ会社間取引の自動化と連結決算の迅速化 | 国内外に多数のグループ会社があり、取引の相殺消去が複雑手作業によるデータ集計と調整で連結決算に時間がかかるグループ全体の財務状況のリアルタイム把握が困難 | 連結会計システムグループ各社のERPシステムとの連携RPAによるデータ収集・突合の自動化 | 連結決算プロセスの大幅短縮(約10営業日短縮)グループ会社間取引の自動消去により、手作業を大幅削減グループ全体の経営状況をリアルタイムで可視化し、迅速な意思決定を支援内部統制の強化とガバナンス向上 |
| AI-OCRとRPAによる伝票処理の効率化 | 大量の紙媒体の請求書、領収書、伝票の手入力作業入力ミスによる後工程での手戻り、確認作業経理部門の人員が定型業務に追われ、付加価値業務に集中できない | AI-OCR(光学文字認識)システムRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)基幹会計システムとの連携 | 伝票入力業務の約90%を自動化ヒューマンエラーを劇的に削減し、手戻り作業がほぼゼロに経理担当者が戦略的な分析や企画業務に注力できるようになり、生産性が向上人件費の最適化と業務効率の飛躍的な向上 |
| 全社的な基幹システム(ERP)導入による業務統合 | 部門ごとに異なるシステムが乱立し、データ連携が不十分経営情報の分断により、全体最適化が困難業務プロセスの標準化がされておらず、非効率な部分が多い | 統合型ERPシステム(会計、販売、購買、生産、人事など)データウェアハウス(DWH)構築 | 経理業務を含む全社業務プロセスの標準化と効率化全社データの統合により、リアルタイムで正確な経営情報を一元的に把握部門間の連携が強化され、意思決定のスピードが向上システム運用・保守コストの最適化 |
失敗事例に共通する原因とは
成功事例がある一方で、経理DXが期待通りの成果を出せない、あるいは途中で中断した失敗事例も少なくありません。
これらの失敗には、いくつかの共通する原因が見られます。
- 目的が不明確なままのツール導入
「DXが流行だから」「他社が導入しているから」といった漠然とした理由で、具体的な課題や目標を設定しないままツールを導入するケースです。
導入したものの、使いこなせず、結局は従来の業務フローに戻ってしまうことがあります。
「何のためにDXを行うのか」という根本的な目的意識の欠如が、最大の失敗要因となります。 - 現場のニーズを無視したトップダウン導入
経営層や一部の推進部門が、現場の意見を十分に聞かずに高機能なシステムを導入するパターンです。
現場の業務フローや慣習と合わないシステムは、従業員に受け入れられず、定着しません。
結果として、現場からの抵抗や不満が募り、システムの形骸化を招きます。 - 外部ベンダーへの丸投げ
システム導入をすべて外部のベンダーに任せきりにしてしまうと、自社の業務プロセスや特殊性を十分に理解してもらえない可能性があります。
導入後の運用フェーズでトラブルが発生しても、自社内にノウハウが蓄積されていないため、対応が遅れたり、追加コストが発生したりすることがあります。
DXは自社が主体となり、ベンダーはあくまでパートナーとして協力してもらう姿勢が重要です。 - 導入後の教育・サポート体制の不足
新しいシステムを導入しても、従業員がその使い方を習得できなければ、効果は限定的です。
十分なトレーニング期間を設けず、操作マニュアルの提供だけで終わってしまうと、従業員は混乱し、生産性が低下する可能性があります。
継続的な教育プログラムや、質問・相談に対応できるサポート体制の構築が不可欠です。 - スモールスタートをせず、一度に大規模な変革を試みる
経理DXは、多岐にわたる業務プロセスやシステムが関係するため、一度にすべてを変えようとすると、リスクが高まります。
予期せぬ問題が発生した際の対応が困難になり、プロジェクトが停滞する原因となります。
まずは小規模な範囲で導入し、成功体験を積み重ねながら段階的に拡大していく「スモールスタート」のアプローチが有効です。
経理DXを成功させるための重要ポイント

経理DXは、単に最新のITツールを導入するだけでは成功しません。
組織全体の意識改革と、戦略的なアプローチが不可欠です。ここでは、経理DXを確実に成功に導くための重要なポイントを具体的に解説します。
経営層のコミットメントと推進体制
経理DXを成功させる上で、最も重要な要素の一つが経営層の強力なコミットメントです。
DXは企業全体の変革を伴うため、部署横断的な調整や予算、リソースの確保が必要となります。これらは経営層でなければ決定できない事項であり、トップダウンでの推進が不可欠です。
経営層は、経理DXのビジョンを明確に示し、その重要性を全従業員に繰り返し伝えることで、変革への意識を高める役割を担います。
また、具体的な推進体制の構築も重要です。
専任のプロジェクトリーダーを任命し、経理部門だけでなく情報システム部門や他部署からもメンバーを選出してプロジェクトチームを編成することで、スムーズな進行と部門間の連携を促進できます。
現場を巻き込む運用設計と教育
どんなに優れたシステムを導入しても、実際に業務を行う現場の従業員が使いこなせなければ、経理DXは形骸化してしまいます。
そのため、運用設計の段階から現場の意見を積極的に取り入れることが成功の鍵となります。
既存の業務フローを熟知している現場担当者の視点を取り入れ、使いやすさや業務効率化に繋がるシステム設計を行うことが重要です。
また、新システム導入後には、十分な教育・研修プログラムを実施し、従業員が安心して新しいツールやプロセスに移行できるようサポート体制を整える必要があります。
変更への抵抗感を軽減するためには、DXによって得られるメリットを具体的に示し、従業員一人ひとりが変革の意義を理解し、主体的に関与できるような環境づくりが求められます。
スモールスタートと段階的導入
経理DXは大規模な変革を伴うため、一度に全ての業務やシステムを刷新しようとすると、リスクが高まり、失敗に終わる可能性があります。
そこで推奨されるのが、スモールスタートと段階的導入です。
まずは、経費精算や請求書発行など、比較的シンプルで効果が見えやすい業務からDXを導入し、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。
これにより、プロジェクトチームは実践を通してノウハウを蓄積し、現場の従業員も新しい仕組みに慣れることができます。
成功事例を社内で共有することで、他の業務へのDX展開に向けた期待感を醸成し、全社的な推進力を高める効果も期待できます。
段階的に導入することで、予期せぬ課題が発生した場合でも、影響範囲を限定し、柔軟に対応することが可能になります。
外部パートナー・クラウド活用の重要性
自社内だけで経理DXを推進するには、専門知識やリソースが不足するケースが少なくありません。
このような場合、外部パートナーの活用が非常に有効です。
DX戦略の策定からシステム選定、導入、運用定着まで、それぞれのフェーズで専門的な知見を持つコンサルティング会社やシステムベンダーのサポートを受けることで、プロジェクトの成功確率を高めることができます。
また、経理DXにおいては、クラウド型システムの活用も重要なポイントです。
| 項目 | クラウド型システム活用のメリット |
| 初期費用 | サーバー構築などの初期投資を大幅に抑えられる |
| 運用・保守 | システムベンダーが運用・保守を行うため、自社のIT部門の負担を軽減できる |
| 機能更新 | 常に最新の機能やセキュリティ対策が提供される |
| 柔軟性 | インターネット環境があれば場所を選ばずに利用でき、テレワークにも対応しやすい |
| 拡張性 | ビジネス規模やニーズの変化に合わせて柔軟に機能やユーザー数を増減できる |
SaaS(Software as a Service)型の経理システムやRPAツールなどを活用することで、導入期間の短縮や運用コストの最適化を図りながら、効率的かつセキュアな経理業務環境を構築できます。
経理DXに適したシステムの選び方

経理DXを成功に導くためには、自社の状況に最適なシステムを選定することが不可欠です。
市場には多様な経理システムやDXツールが存在するため、やみくもに高機能なシステムを導入するのではなく、自社の課題や目的に合致したものを見極める必要があります。
ここでは、システム選定における重要なポイントを具体的に解説します。
自社業務に合った機能要件の整理
システム選定の第一歩は、自社の現状の業務フローと課題を詳細に洗い出し、システム導入によって何を解決したいのか、どのような機能が必要なのかを明確にすることです。
- 現状業務の棚卸しと課題特定
まずは、現在の経理業務プロセス(仕訳入力、債権債務管理、経費精算、決算業務など)を可視化し、時間や手間がかかっている作業、ミスが発生しやすいポイント、属人化している業務などを特定します。 - 必要な機能のリストアップ
特定した課題を解決するために、どのような機能が必要かを具体的にリストアップします。
例えば、紙の領収書をなくしたいなら「AI-OCRによる読み取り機能」、承認フローを効率化したいなら「ワークフロー機能」などです。 - 優先順位付け
予算や期間には限りがあるため、すべての課題を一度に解決することは難しい場合があります。
絶対に譲れない必須要件と、あれば望ましい付加要件に優先順位をつけ、段階的な導入も視野に入れます。 - 標準機能とカスタマイズの検討
市販のパッケージシステムは、多くの企業で共通して必要とされる標準機能を備えています。
しかし、自社特有の業務プロセスがある場合は、カスタマイズの可否やその費用、将来的なアップデートへの影響なども考慮に入れる必要があります。
これらの要件整理を怠ると、導入後に「使わない機能ばかり」「必要な機能が足りない」といったミスマッチが生じ、かえって業務が非効率になるリスクがあります。
既存システムとの連携性・拡張性
経理システムは、単独で機能するものではなく、販売管理システム、勤怠管理システム、生産管理システム、人事給与システムなど、社内の様々な基幹システムと連携することで真価を発揮します。
データ連携のしやすさは、経理DXの成否を分ける重要な要素となります。
- データ連携の重要性: 各システム間でデータがスムーズに連携されることで、手入力による二重入力やミスを削減し、リアルタイムでの正確な情報共有が可能になります。これにより、経営判断の迅速化にも貢献します。
- 連携方式の確認: システム間の連携方式には、主に以下の種類があります。
- 将来的な拡張性: 企業の成長や事業拡大に伴い、必要な機能や連携システムが増える可能性があります。将来のビジネス変化にも柔軟に対応できるよう、モジュール追加や他のクラウドサービスとの連携が容易なシステムを選ぶことが賢明です。
オープンAPIを提供しているシステムは、外部サービスとの連携がしやすく、拡張性に優れていると言えます。
| 連携方式 | 概要 | メリット | デメリット |
| API連携 | システム同士が直接プログラムで通信し、リアルタイムでデータをやり取りする。 | リアルタイム性 データの一貫性 自動化の幅が広い | 開発コストがかかる場合がある 連携先のシステムに依存 |
| CSV連携 | データをCSVファイル形式でエクスポート・インポートしてやり取りする。 | 汎用性が高い 比較的容易に導入可能 | 手作業が発生する リアルタイム性に欠ける フォーマットの調整が必要 |
| データベース直接連携 | システムが直接相手のデータベースにアクセスしてデータを取得・更新する。 | 高度な連携が可能 柔軟性が高い | セキュリティリスク システム構成が複雑になる 専門知識が必要 |
クラウド型システムを選ぶメリット
近年、経理DXを推進する上で主流となっているのが、インターネット経由でサービスを利用するクラウド型システム(SaaS)です。
クラウド型システムは、特に中小企業にとって多くのメリットをもたらします。
- 導入コストの削減:
自社でサーバーやネットワーク機器を購入・構築する必要がないため、初期投資を大幅に抑えることができます。月額や年額の利用料を支払うサブスクリプションモデルが一般的です。 - 運用・保守の手間削減:
システムの運用、保守、アップデート、セキュリティ対策などはベンダー側が行うため、自社のIT部門の負担を軽減できます。経理担当者は本来の業務に集中できます。 - 場所を選ばないアクセス性
インターネット環境があれば、オフィスだけでなく、自宅や外出先からもシステムにアクセス可能です。これはリモートワークやテレワークを推進する上で非常に重要な要素となります。 - 常に最新の機能を利用可能:
ベンダーが定期的に機能改善や法改正対応のアップデートを行うため、常に最新の機能やセキュリティ対策が施された状態で利用できます。 - 災害対策(BCP)への貢献
データはベンダーのデータセンターで管理・バックアップされるため、自社で災害が発生した場合でもデータが失われるリスクを低減できます。
オンプレミス型(自社でシステムを構築・運用する形式)と比較すると、クラウド型はこれらの点で優位性があり、多くの企業で導入が進んでいます。
導入・運用サポート体制の確認
システムは導入して終わりではなく、その後の安定的な運用と効果的な活用が重要です。
そのため、ベンダーのサポート体制はシステム選定の重要な判断基準となります。
- 導入前のコンサルティング
自社の課題や要件を正確に理解し、最適なシステム構成や導入計画を提案してくれるかを確認します。 - 導入時の支援
システムの設定、既存データからの移行、他システムとの連携設定など、導入フェーズでの具体的な支援内容を確認します。
特に、データ移行は専門知識が必要な作業であるため、手厚いサポートがあるかを確認しましょう。 - 運用開始後のヘルプデスク・FAQ
システムの操作方法に関する疑問やトラブルが発生した際に、迅速かつ的確に対応してくれるヘルプデスクの有無、対応時間、連絡手段(電話、メール、チャットなど)を確認します。
充実したFAQやオンラインマニュアルも重要です。 - トレーニング・教育プログラム
システムを導入しても、現場の従業員が使いこなせなければ意味がありません。
導入後の操作トレーニングや定期的な説明会など、従業員がシステムを習熟するためのサポートがあるかを確認します。 - 保守契約の内容と料金
システムの不具合対応、アップデート、セキュリティパッチ適用など、保守契約に含まれるサービス内容と、その料金体系を明確にしておくことが大切です。
手厚いサポート体制は、システムの定着率を高め、DX推進を加速させる上で不可欠です。
ベンダーの担当者とのコミュニケーションの取りやすさや、導入実績なども参考にすると良いでしょう。
まとめ
経理DXは、単なる業務のデジタル化に留まらず、企業全体の生産性向上と競争力強化を実現するための重要な経営戦略です。
本記事で解説したように、業務効率化、コスト削減、そして経営判断の迅速化といった多岐にわたるメリットをもたらし、複雑な経理業務が抱える課題を根本から解決する可能性を秘めています。
成功への鍵は、経営層の強いコミットメントのもと、現状分析に基づいた明確な戦略と目標設定を行うことです。
また、現場の声を反映したシステム選定、段階的な導入、そして継続的な運用改善が不可欠となります。
特に、専門知識を持つ外部パートナーの活用や、柔軟性の高いクラウド型システムの導入は、リソースが限られる企業にとって、DX推進の大きな助けとなるでしょう。
経理DXは決して容易な道のりではありませんが、適切に進めることで、企業は持続的な成長を実現し、変化の激しいビジネス環境において優位性を確立できます。
ぜひ本記事を参考に、貴社の経理DXを成功へと導いてください。

